あれから半年
あれからどれくらいの時間が経ったのだろう。真奈美の事をすっかり忘れてしまってジムニーに夢中だ。
今では、心地よくパラパラ……パラパラ…と聞こえる2ストロークエンジンサウンド。
サンマルジムニーとの出会いが慰めてくれた。今となっては、ジムニーが恋人のようだ。
幼い頃によく親父のサンマルジムニーに乗せてもらっていろいろと山や川へ行ったように、またあの頃のように冒険心が蘇ってきた。ジムニーのエンジン音を聞くたびに、親父と過ごした思い出が蘇り、自然と笑顔がこぼれる。
ジムニーはただの車以上の存在だ。まるで古い友人のように、僕の心を支えてくれる。週末になると、ジムニーと一緒に新しい道を探しに出かけるのが楽しみで仕方ない。山道を駆け抜け、川辺で一息つく瞬間が、何よりも僕の心を癒してくれる。
ある日、雪が降る中、ジムニーで山奥にある小さなカフェにたどり着いた。そこには暖かいコーヒーと、心温まる笑顔を持った店主がいた。その店主と話すうちに、僕は少しずつ新しい人間関係を築くことができた。かつての傷は少しずつ癒え、新たな希望が心に芽生え始めた。
ジムニーとの旅は、ただのドライブ以上のものだった。僕にとって、再び人と繋がる勇気をくれたのだ。親父が教えてくれた冒険心とジムニーの力で、僕は再び未来に向かって歩き出すことができた。