サンマルジムニーとの出会い
僕は、翔太郎。クリスマス前なのに彼女にフラレた男だ。
街を彷徨うように歩き続けた。まるで、イルミネーションや星空や寒い北風が慰めてくれたかのような夜だった。歩き続けたら、一軒の中古車販売店のショールームに目が止まったんだ。赤いサンマルジムニーだった。そのジムニーは、僕に買ってくれって訴えているように見えた。
店内に入って近くでサンマルジムニーを見た時にはもう一目惚れしていたんだ。なんだか運命の人に出会ったみたいに…。
店のおじさんはとても親切で話やすかった。
「いらっしゃい!兄ちゃんさては彼女に?」
「僕、彼女にフラレたばかりで。この店の前を通り過ぎようとしたらコイツに呼び止められて」
「そうか、それは辛いな。でも、このジムニーに出会えたのは運命かもしれないな。車ってのは、時に人の心を救うこともあるんだぜ」とおじさんは微笑んだ。
僕は思わず微笑み返してしまった。確かに、この赤いサンマルジムニーには何か特別なものを感じていた。車のフロントガラスに映るイルミネーションが、まるで新しい希望の光のように見えたんだ。
「このジムニー、どのくらい走ってるんですか?」僕は興味津々で尋ねた。
「走行距離も少なくて、前のオーナーも大事にしてたから状態は抜群だよ。試乗してみるかい?」
僕は首を縦に振り、早速試乗させてもらうことにした。エンジンをかけると、力強い音が響いた。その瞬間、胸の中のもやもやが少しずつ晴れていくのを感じた。