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夢を求めて、異世界転生。  作者: したのまちS
7/8

ダンジョンには危険がいっぱい

「はぁぁっ!」

ガキン!!と大きな音が響く。

ここはヘドラ遺跡の第一階層のボス部屋。

今回戦うお相手はゴーレム。岩や鉄といった硬い物質で、形成されており非常に硬い。弱点はコアと呼ばれる動力源。(そこを中心に体を形成しているから、それを壊すことで体が崩れて倒せるらしい。)ただ今回戦う奴は普通の人間よりも体が大きく、弱点である(何故か)剥き出しの"コア"に攻撃を当てるのはかなり大変だ。

「くぅっ!なんかこいつデカくないか!?」

「えぇ、何故だか大きく育っている様だ!!」

「ウィン!支援魔法をもっと強く出来ねえのか?!」

「…こっ!これ以上は…ッ!!」

「ちっ!まじか!」

どうやらいつもより大きい様だ。ガウとアイン、そして(.ウィンが後方支援で、)戦っているが苦戦を強いられている様子。(ていうかゴーレムって育つタイプなのか。)

こちらも加勢に加わりたいが。

「二人とも離れて!…はあぁっ!!」

紅蓮の剛球が奴へぶつかる。しかし…。

「えぇ!?効いてない!?」

奴は動きを止めることなく、こちらへ向かってくる。

「おっと。」

攻撃が単調なおかげで躱わせているが。

ドゴォンッ!!

その一撃で地面が抉れていく。

「…おいおい、まじか。」

硬く攻撃が効かない、単調だが一撃でも喰らったらやばそうな攻撃…しかもこちらの打つ手は無し。

(これはアレを使うしかないか?)

超安直な設定的にも扱いづらそうなあの技…ただアレを使うには少し"ため"がいるし、動いてる相手には上手く当てられる自信がない…。どうにか隙を見つけるしかないか?

「ふっ!」

まさにグッドタイミング!マナが植物を生やし、ゴーレムを捕まえる。

「おおぉらあぁッ!!」

そこにガウの本気の一撃、見事コアにヒビが入る。どうやらあの技は要らな、

「……!!」

…ゴーレムの動きが止まらない?ガウめがけて拳を下

(マズイ!)

走る、奴へ近づく。

「ま…まずっ!」

拳を硬く、姿勢は真っ直っ!

「…はぁぁぁっ。」

腰を下ろし、一息。

「………ふっ!!」

一撃、奴の"コア"へ。

キィィィンッ!!!

ゴロゴロゴロゴロッ。

思ったよりもあっさりと、静かに奴は粉々に崩れ去り塵と化す。

…ふぅ、何とか間に合ったか。

「なっ!」

「…一体何が?」

みんな俺のした事に困惑してるみたいだ、…さてどう説明するか。素直に言っても信じて貰えなさそうだし…。

ゴゴゴゴゴゴ……!

「え?」

そう、この時油断するべきでは無かった。…なんて言いたいところだが…。

ゴンッ!

「え?」

「ハッ?」

「なにっ!?」

「…え?」

「うぇ?!」

地面が崩れるなんて、油断しなくてもどうしようもないだろ。

「…まじか。」

そうして、俺たちは下へ落ちていった。



「…ん?」

柔らかい感触。落ちた先が偶然マットでもあったのかな?…まぁ、そんなことはないよな。

(マナか、リアか、ウィンか、誰かが魔力の柔らかいマットみたいなのを作って助けてくれたみたいだ。)

さて、みんなは無事だろうか?

「…いてて。ってあれ、痛くない?」

「…ん?これは。」

「え?ナニコレ、魔力…?」

「……ふう。」

どうやらみんな無事の様だ。

「…みんな、無事?」

「ああ、みんな無事だ。…ありがとう、マナ。」

「…うん。」

マナのおかげで何とか助かったが、…ここはどこなんだろうか?マナに魔力のマットを解除してもらい、辺りを見回してみる。

「…さっきいたボス部屋みたいだなぁ。」

違いがあるとすれば先ほどの部屋よりずっと広いことだろう。…壁が見えない。

(一体どれだけ広いんだ?)

「なあ、シン。…こんな状況で聞くことじゃないのは分かってるが…」

そう、ガウに言われる。…まぁ、言いたいことはなんとなく分かるさ、…こんな状況で聞きたくなる理由も。

「おい、ガウ…!」

「いや、いいんだ。…それで、何についてだ?」

「”アレ”は何なんだ?なんであんなことが出来た?…何であんな…バ、化け物じみた…」

「…っ!!危ないっ!!!」

「え?」

ゴンッ!!と鈍い音と共に”何か”が吹っ飛ばされる。いや、分かっている。…今のは。

「…っ!アインッ!!!」

気づけば。

そう表現するしかないほど、奴の存在に気づけなかった。

「グルルルルゥ…」

見上げるほどにある”複数”の顔、黒く巨大な体、よく見れば先ほどアインを吹き飛ばしたのに使ったのか、尻尾がふよふよと揺れている。

(ふよふよなんて言葉に似つかないほど大きいけど…。)

奴は昔話やアニメ、ゲームなんかで見かけるであろう、あの存在に酷似していた。

七つの首を持つ、怪物。体が硬いとか、血には毒があるとか、酒に弱いとか、色々と耳にしたことはある。…そう奴は。

「…ヒュドラ、か。」

「…グルルルルルゥアアアッ!!!!」

七つの首の龍が、迫るっ。




ヒュドラは、その長い首をこちらに向けて振り下ろしてきた。

「…くっ!」

巨体に似合わず、思ったよりも攻撃が速い。…そうだ。

(皆は無事か?)

辺りを見渡す。リアとマナは、…魔法で防御している様だ。ウィンは…

(アインのところにいるっ!…敵に背を向けて明らか無防備だが、結構遠いしところだし大丈夫か?…アインが心配だ…で、ガウは何処に?)

ガウだけが見当たらない。と思ったら…。

「ウオオオオォッ!!」

(って攻撃しに行ってる!?)

跳んでヒュドラの首へ思いっきり剣を振り下ろす。

ガキィィィィン!!っと金属でも叩いたような音が鳴り響く。

…だが。

「き、効いてねえ!?」

攻撃は効かず、そして。

「ガアアアァァッ!!!」

首の鋭いスイングが、ガウに迫る。

「やっべ……!!」

「させるか!!」

跳びながら思いっきりガウにぶつかる。

ヒュドラの首がすぐ真上を通り過ぎる。

(…こ、怖え~。)

でも、何とか無傷で乗り越えられた。勢いのまま床に転げ落ちながらそう思う。

「っ痛ってぇ…でも、助かったぜ。」

…のんきに言いやがって。

「次はあんな無茶するなよ。」

「…分かったよ。」

知ってる、これ絶対次も無茶する奴だ。…次があればだけど。

「ふう。」

敵の装甲は固い。(この場合、装甲は正しいのだろうか?)普通の攻撃じゃあビクともしない様だ。

「はあぁっ!!」

「………ッ!!」

リアとマナが魔法を使っているが…。

「グルルルルゥ……」

炎は効かず、植物も足止め程度の効果しかない。(それでも十分だが)ダンジョンのボスを倒さないと先には進めないし戻ることもできない、どうやったら勝てるのかを考えないといけない。

(…やはりあれしかないか。)

消滅拳、(我ながらあまりに安直な名前を付けたものだが)文字通り対象を無に帰す奥義、俺のは完ぺきではないけれど、一か八か試すしかない。

「…よし。ちょっと行ってくる。」

「はあ?行ってどうするんだよ。」

ちっ、めんどくせえな。

「じゃあな。」

「あ、おい!!」

走る。左手を腰に、奴の注意はあの二人が引き付けてくれている。なら、進むのみ。

近づく、奴の懐っ!左手に力を込めて、……今だっ!!

「おおおおおッ!!!」

パァァァンッ!!

「…グゥゥゥ。」

「何!?」

少し、吹っ飛ばされただけで、奴には…あ、結構ダメージ入ったっぽい。

「…グゥゥゥゥッ!」

苦しそうだ、これなら。

「あれ?」

ヒュドラの体から緑色の光が、なんだか元気になっているような…。

「回復持ちかよ!!!」

「…グウウ。」

完全ってわけではないのが救いか、元気にはなったが動きが少し鈍い。でも、

「ガアアアアッ!!!!」

こっちにヘイト向きますよねえ。

(まずいぞ、あれそんなばんばん打てるものじゃないし、狙われながらじゃ余計そうだ。)

「うおおおおおッ!!」

奴の接近に合わせて剣で攻撃!!

ガキンッ!!

[折れたぁッ!?」

買ったばかりなのに!

「うおおっ!?」

奴の首が頭すれすれを通る。

(怖い、怖いよおッ!!)

どうしようどうしよう…!!…ん?待てよ。そういえばガウの剣は折れてないな。てかあいつの剣なんか普通じゃないんだよな、黒いし。…まさか魔剣?

(魔剣ってかなりレアものだし、売ってても滅茶苦茶高いんだけど。あいつなら高い金払って買っててもおかしくない。てか、そうであってくれ!)

「ガウ!お前の剣借りるぞ!!」

「え?あ、おい!!」

あいつから無理やり剣をうばっ…いや借りる。

「うあああっ!?」

俺を追っているヒュドラに巻き込まれそうになってるけど、当たってないからよし!それじゃあ。

「やりますか。」



迫る龍。首が疾風のごとく飛び掛かる。

(ならば!)

それに合わせて斬るのみよ!

剣から伝わる感触、するすると何かを割いていく。

(よしっ!よしっ!!」

ヒュドラの首が一つ落ちた。

「ガアァァァッ!!!」

たまらず叫ぶ龍、だが。

「まだ終わらんよ!!」

落ちた首を足場に跳躍、二つ目の首を斬る。

「…グウゥガァァッ!!」

龍が口を開ける。…ブレスの構えか。

「おっと。」

「ガアァァァッ!!!」

だが、透明なバリアがそれを阻む。そしてあまたの植物が龍の体を押さえつけ、炎の球が奴の頭を焼き尽くさんとする。

「「…………!!」」

(遠くて聞こえないけど、応援ありがとう!!)

「はああッ!!」

ブレスを吐いた首を討つ、これで三つ目。

「グゥゥゥゥアアアアアアッ!!!」

縛られし龍はもがき苦しむが、その魔法からは逃れられない。

四つ、五つ、六つ、次々と首を落としていく。

「…グウウウ。」

ついに、叫ぶ力もなくなったのか、弱弱しく声を上げるだけの龍。首はあと一つ。

「これで終わりだ。」

龍に近づき、剣を構える。

「…Guルアアアアアッ!!!!!!!」

「なっ……」

だが、最後の力といわんばかりに、おもいきり口を開いた龍が灼熱のブレスを吐く。 もうよけられない




                                              」

なんてね。

龍の首を落とす。

「………」

最後には物言わなくなった龍。これで、終わり。

「ふう。」

(な、何とかなった。)



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