戦う兎と試す人
遅れて申し訳ないです
「さぁ!出番ですわよ風壁先生!」
私が叫ぶと同時に、魔法陣が両腕に展開され、見えにくい風の壁が私の腕を覆う。
近くの木に向かって拳を振ると、風の部分が木に触れた途端に木の幹が削れた。
そんな脅威的な威力を誇る由紀の風壁を前にしても怯えた様子を見せず、にらみつづけるボス兎。
両者が数秒間の睨み合いを続けていると、ボス兎が動いた。由紀の正面から右側面へとスライドするように動く。
由紀はボス兎の素早い動きについてゆけず、風壁の範囲外を通過したボス兎の攻撃を喰らってしまう。
鋭い爪とボス兎の速さや膂力による鏡台な一撃は、由紀の体力を17も削った。
冷や汗が滲む中、由紀は魔力の殆どをそそぎ込んで、体全体を覆うように風壁を展開すると、残りの僅かな魔力で微風を発生。足裏に貼り付ける機動力を確保すると、果敢に近接戦闘を仕掛けた。
「当たれ!」
爪を眼前で交差させ、そこに魔力を込める事で衝撃波を放ち、牽制するボス兎。それを無視するという脅威の性能を見せた風壁は、そのままボス兎の爪先を少し削る。
不快感を覚えたりボス兎は、直ぐに後方へと飛んで離れると、威嚇の咆哮を放った。
「ギシャァァァォオオオオ!」
「威嚇なんて…効かないよ!」
静電気と風を纏った由紀の腕から迸る僅かな極小の雷撃がヘビのようにうねり更に迫ってきたボス兎に噛みつく。
ボス兎は少しうざったそうにしながら、毛を震わせる事で振り落とし、そのまま攻撃を継続させた。
由紀は、17もダメージのあるボス兎の攻撃を極力当たらぬように受け流したり、避けたり、止めたりと対処しているが、依然状況は拮抗している。
ボス兎が、爪を振り下ろし、由紀の脳天をかち割ろうとするが、それを由紀は腰を低く落とし、拳を構えて静止することで対応する。
「待ってましたぁ!この瞬間を!」
そういって華麗にアッパーを決め込むと、ボス兎の頭部は削り取られ、そのまま地に落ちた後、数メートル程歩いた後に倒れ伏した。
『レベルアップ!!基礎恩恵を受けます。』
『魔力が7上昇しました!』
『筋力が8上昇しました!』
『体力が15上昇しました!』
『雷魔法静電気の熟練度が一定に達しました。』
『新たに、雷魔法狙撃雷を習得!』
あけましておめでとうございます。