プロローグ
意識が覚醒した。
暗かった思考領域はスゥゥと光を灯し始め、そこに確固たる意思が表れる。
重い瞼を開けて、寒空の元曝された2つの眼球で周囲を見渡す。辺り一面に広がる大自然、ドドドと打ち付けるような滝の音。小鳥の囀り。
やはりというか、何というか。
私───西条由紀は、転生したようだった。
ただ、私はそれを特段憂いている訳では無かった。不条理な事が沢山在ったようなな地球に対して、なんの思い入れも無いからか、寧ろ転生したことは喜んでいる。
しかし、自分の死因くらいは、知りたかった。なんとなくなのだが、死因は実に間抜けな物であると感じている。
そんな事を考えていると、腹の虫がグギュルルルとなった。昨日、夜深くに放り出された為、パニックを起こしてしまい何もせず眠りに落ちたのだった。
そんな所で、滝の元へと向かう。
滝へ向かうに連れて、冷たい風がそっと頬を撫でる。水面を激しく打ちつける大瀑布は、その水飛沫をそこら中に飛び散らして、その周囲は、早朝特有の陽光を一杯に浴びる草木が生い茂っていた。
「喉……渇いたな…」
思わずそう呟く。
この世界に転生してからは、飲まず食わずの為、水を見ると急激に、何処か遠くに忘れていた喉の渇きが押し寄せてきた。
ゆっくり歩いていた足は、次第に速くなり、滝壺へと行くと、両手で作った器一杯に水を汲んで、口元に運んだ。
そして、喉を冷たい水が通ってゆくのを感じる。1分程、一心不乱に水を飲んでいた。
「美味しかった…」
私はふぅ、と息を吐く。
さて、これからどうした物かと考える。
現状、滝壺を活動の起点としようとしているために、思考を纏めなくてはならない。
何故なら、危険が多い森の中で18才の少女が独りは、かなり危険が伴う。
近頃、ライトノベル等が大ブームを起こしており、私も良くラノベは読んでいた。
さて、そんなラノベ脳な私が考える事はただ1つ!
「ステータスウィンドウ的なの無いかなぁ?」
すると、背後からフォン…という消えそうな、儚い音が聞こえた。
そこに在ったのは、白色で出来たボードのような物で、しかし見た目が余りにも学校でつかうボードに見えたので、それがホログラム的な物であると気付くのには少し時間が掛かった。
西条由紀Lv1
職業 彷徨う異邦人
体力 98
魔力総力 19
魔力 27
スタミナ 100
筋力 27
敏捷 50
知力 78
スキル
魔力操作Lv1 視覚強化Lv2 聴覚強化Lv1
身体能力強化Lv2 薬草知識Lv5 生存知識Lv2
特殊スキル
魔法使い 生存者
「わ、わぁ…。凄い…のかなぁ…?」
どうにも、このファンタジーな世界に対しての驚愕は私に敵意むき出しのようだった。
魔力総力はMPで、魔力は魔力の質です。
視覚強化Lv2は、視力2.0くらいです。
聴覚強化Lv1は、特に変わりません。
身体能力強化Lv2は、50メートル走8秒くらいです。