『ツンデレキャラキタ――(゜∀゜)――!!』
「ちょっと!!アンタがアルテミス?!」
その時赤い髪をした女がビクターの後ろから駆け寄ってきた。顔を近付け、まじまじとこちらを見つめて来る。
近い近い近い近い!!こんな近距離で女性と触れ合った?事なんてない俺には刺激が強い。
あと数センチで…いや何でもない。
俺はクールな異世界主人公だ。ここは距離感バグり女に動揺せず大人の余裕を見せたい。
「私の名前を覚えなさい!チェルシーよ!」
「…え?チェルシー…さん?」
なんかそんな名前の飴があった気がするな、覚えやすいっちゃ覚えやすい名前だ。
だからといってこんな一気に人の名前を覚えられるほど要領は良くない。
新しい職場や新しい環境では名前が覚えられず苦戦したな。苦い思い出が蘇って来る。
異世界を受け入れたように見えて俺はまだ常に現実と非現実の狭間で揺れているのだ。
「わかったら返事は?覚えないと家畜の餌にするわよ!」
「…はい。」
分かりやすいツンデレキャラだ。ツンデレキャラって何で赤系の髪色してるんだろう。
このタイプは最初は俺に敵意を向けつつも、最後は俺一筋デレデレキャラになると相場は決まっている。
「エリーとビクターもこっちに来なさい、今日は楽しむわよ!アルテミスの歓迎会なんだから。」
「飲み過ぎは禁物だぞ、私は明日も村周辺の討伐に行かなくてはいけないからな。…アルテミス、無理矢理飲まされそうになったら私を守ってくれ。」
エリーは上目遣い(厳密に言うと上目遣いにはなっていないが)でこちらをじっと見つめる。
「まあ自分飲み会は割と慣れてるんで、何とかなりますよ。」
現実世界の飲み会で俺はいつも介抱役だった、記憶が無くなるまで飲める人が羨ましくてたまらない。俺は真面目すぎるが故に飲みの場で自分を解放する事が出来ない。良いのか悪いのか…。