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(普段魔法が使えない者からすれば、魔法を使える事は大変魅力的で、強力な力ーーー)



物理攻撃が無いルナマリアにも、7色の結晶の援護する武器を与えてくれた。


聖女の贈り物は、本当に貴重で、喉から手が出る程、欲しい力。




ルナマリアは、チラリと、タマを見た。




「これがーー聖女の力っ!!凄いぞ!予想以上だ!!」



思った通り、目の当たりにすれば、タマはもっと、聖女の力を自分の物にしたくなる。



「ベンジャルラレン様!上手くいきましたね!」

興奮した家来が、授業中にも関わらず、タマの傍まで駆け寄り、声をかける。



「ああ!良くやった!褒めてつかわす」

「有り難きお言葉…!強力な魔物の鍵を緩めるだけの、簡単ですが、とても危険な仕事でした…!」

「分かっておる。褒美はたんまりくれてやる」

「ありがとうございます!」



聖女の力を確認する為、タマと家来が仕組んだ騒動は、強力な魔物が現れる事で、聖女が力を使わざる得ない状況に持っていく事。


思惑通りに事が進み、タマも家来もほくそ笑んだ。






「……」

(聖女の力は渡さない)


そんなタマ達に、ルナマリアは冷たい目線を向けた。


(タマはヨウナを自分の目的の為に利用する)


それーー最低の事実は、ゲームでは最後まで、ヒロインには明かされなかったけれど、最低最悪で、本当に、救いようの無い、本っっ当に最低なクソゲーだと、思った。



(ヒロインを……ヨウナを……そんな目に……合わせれない!)



例えそれが魔王討伐の為の、ハッピーエンドだとしても!!!


(せめてもう少しオブラートに!幸せなハッピーエンドになってもらわない困る!!)


知ってる?ハッピーだよ?

何でハッピーエンドなのに、全然ハッピーだと思えないんだ!運営陣!!!



ルナマリアは心の中で、ゲームの運営陣に向かいクレームを叫んだ。







***



更に1週間後ーーーー。





「ヨウナ!早く俺様の物になれ!!」





朝一番の教室で高らかにヨウナに向かい命令する、自分勝手な俺様残念イケメン男タマ。


「…え…と…」


聖女の力を目の辺りにしてからというもの、毎日毎日繰り返される、ヨウナに対する狂った求愛ーーいや、道具へのお誘い。


「私は……その、誰かの者になるのは、ちょっと……その、まだ早いと言いますか……」


ヨウナは戸惑いながら、この場が上手く収まる言葉を探す。



「この俺様の誘いを断る気か?!たかが底辺の女如きが!!」



上手く収まる筈も無く、タマは激高のまま、ヨウナの頬を殴る為に、手を上げた。



「阿呆か。止めろ」

「へぶし!!」



即座にルナマリアが聖女の7色の結晶の力で、タマの頬を殴りつけ、止める。


「貴様!何をする!この俺様を殴るとはーー!!」

「タマが初めに殴ろうとしたんでしょ?てか毎日毎日、ほんと懲りないね」



繰り返される求愛に、繰り返される拒絶に、そこからの激高、そして、他生徒からの制止。

ここまでがセットで毎日繰り返されている。



「貴様等がいつまでも邪魔をするからだ!貴様等さえ邪魔しなければ、聖女はとっくの昔に俺様の物になっているんだ!」

「なるか馬ぁー鹿」

「貴様ーー!!この俺様に向かってーー!!!!」



自身の武器である槍に手をかけるタマ。



「止めないか」


ーーーが、槍を構える前に、フラン、ジュリアスがタマの近くに立ち、止めた。


ルナマリアの傍には、レン、瑞月が立ちはだかる。


「くっっ!そっ!!!」



悔しそうに顔を歪めながら、タマは槍から手を離した。


そのまま、教室を出ようと廊下に出た所で、廊下で待機している家来達に、怒号を浴びせた。




「あ、ありがとうございます」

ヨウナが、全員に向かい、ペコりと頭を下げ、お礼を述べる。



「いーよ。ヨウナも、聖女の贈り物ありがとうね」

ルナマリアは、7色の結晶を宙で回した。


いつも助けてくれるルナマリアに対し、ヨウナは前もって祈りを捧げていた。



「いえ……こんな事しか出来なくて、ごめんなさい」


他者に凄い力を与えられるとしても、村娘出身のヨウナ自身のステータスは低い。


ヨウナが自力でタマを押し退ける事は出来ず、毎日迷惑をかけている事に、ヨウナは申し訳無さを感じていた。



「気にしなくて大丈夫ですよ」

レンが優しく返事をすると、ヨウナは安堵の表情を浮かべた。



「それにしても、ほんと執拗いよね。最早ストーカーだよ……ほんと、八つ裂きにしたい……」

最後の言葉は、誰にも聞こえないように小声で呟く。


自分自身もストーカー被害にあった事のある瑞月にとって、こういった事案は本当に許せないものなのだろう。









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