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(駄目だ……最低最悪過ぎて、取り繕うのが難しくなってる)


言ってる事も思ってる事も一緒なら、裏表無く、最低最悪としか思えていなさ過ぎる。


レンなら上手く笑って過ごせていただろうし、絶対、タマのペアはレンの方が平和だった!と、ルナマリアは強く思った。



「ふん!まぁ良い!……所で、聖女の力を、わざと俺様に見せないようにしているみたいだな」

「流石に馬鹿皇子でも気付くんですね」

「あぁ?!もう隠す気ねぇだろお前?!」



つい正直に思っている事が口に出てしまった後なので、もう良いかな。とルナマリアは判断した。



「貴様のその舐め腐った態度、いつか絶対に後悔させてやるからな!!」

「楽しみにしてますー」

「あぁ?!てめぇぶっ殺す!!!」



もう駄目だ。

自分の心に正直になった今、衝突するのは明確なので、早く授業が終わる事を、ルナマリアは切望した。





ーーーービィ!ビィ!!ビィ!!!ビィィィィーー!!!!


「!」

急にドーム型施設に鳴り響く警報音。


教師を含む全員が何事かと動揺する中、ルナマリアの隣にいるタマだけは、ニヤニヤとほくそ笑んでいる。


「何かしたね?」

「あぁ?何の事だ?」


勿論、タマは肯定しない。



『グルルルルル!!!!』

ドーム型施設、奥の扉から現れるのは、先の魔物とは一回り大きい、同じ系統の狼の魔物の群れ。



「!ななななな!」

『グルルルル!!!』


混乱する生徒に向かい、一匹の魔物が喉元目掛けて、飛びつく。


だが、それをフランが剣で食い止める。


「早く逃げろ!」

「う…あ、悪い!恩に切る!!」


助けられた生徒は、急いでその場から走り去った。



急な強い魔物の襲撃に、騒然とする現場。



「あらー。この魔物は危険だから、授業ではまだ早いって話だったのに、どうして出て来ちゃったのかしらねぇん」

騒然とする現場の中、あっけらかんと答える教師のモモ。


「うむ!まだ戦闘に不慣れな者も沢山いる中で、急にこんな強い魔物が現れては大変だな!」

カザンも同じ様にあっけらかんとしている。



「そんな悠長な事言ってる場合か!早く何とかしてくれよ!!」


高みの見学とばかりに、その場から動かない教師二人に向かい、数名の生徒が怒鳴りながら訴えた。



「この魔物捕らえるの、どれだけ大変だったと思うのよん」

「うむ!折角だからこのまま何とか頑張って欲しい所だ!!」

「嘘でしょおーーーーー!?!?!?」

事も無さげに突き放すモモとカザンに、生徒達は絶叫を上げた。




レンとガンダル、瑞月(みづき)とイマル等の実力者達のペアは、それぞれが協力しつつ、強力な狼の魔物を撃退していく。



「うわぁぁぁぁ!!!」

以前ルナマリアに黒板消しを落とそうとしたりと、未だに懲りずにルナマリアを見下し、ちょっかいをかけている魔法使いの男が、狼の魔物に追い詰められ、腰を抜かし、その場にへたり込む。



「く!くくくく来るな!!僕は優秀なんだ!!こんな所で僕の輝かしい未来を失うのは未来の損失でーーうわぁぁぁぁああ!!!」


魔物相手に意味の無い訴えをするも、当然聞き入れられず、魔法使いに襲い掛かる。




シュッッッッ!

その寸前に、一筋の線が走り、魔物の体が塵となって消えた。


「ーーーお前馬鹿か。泣き言言う暇あるなら、さっさと戦え」


短剣についた血を振り払いながら、ジュリアスは腰を抜かしへたり込んでいる魔法使いに向かい、冷たい眼差しを向けた。



「し!仕方ないだろう!僕は魔物との実戦経験は無いんだ!僕は優秀だから、街で一生懸命魔法の勉学に励んでいたんだ!!」

首都アールレン出身の箱入りの坊ちゃんらしく、どうやら勉学の一環として対人で模擬戦闘をしていた事はあるが、外に出ての魔物との闘いはした事が無いらしい。



「第一、魔法使いならこの訓練関係ねーくせに、参加すんなよ」

接近戦授業なので、本来、特例のルナマリアを除く魔法使い、僧侶は、別に魔法の授業を受ける事になっている。



「あ!あんな低レベルの女が特別に両方行き来する事になるのに、優秀なこの僕が、今更魔法の基礎の特訓なんてする訳ないだろう!!」



ルナマリアに未だに敵意剥き出しなので、特別枠となったルナマリアが気に入らず、参加を申し出たのだろう。



「……そんなんでよくルナに喧嘩売れんな」



実力も無いくせに、本当に優秀な魔法使いであるルナマリアに喧嘩を売り続けるひ弱な男に、心底呆れる。



「じゃあさっさと戦え。行け」

「ひぃぃぃ!止めろ!殺す気か!?」

問答無用で首根っこを掴み立ち会がらせるジュリアスに、魔法使いの男は悲鳴を上げた。

「…本気で見捨てんぞコラ」



今回の授業でペアになった魔法使いの男を、嫌々だが、見捨てる事はせずに、ジュリアスは守りつつ、だがスパルタで、尻を叩いた。






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