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3週間後ーーー。




タマの寮の部屋の中ーーー綺麗に飾っていた豪華な置物や机が破壊され、散乱され、荒れ果てていた。


「くそったれーー!!!」

荒らしたと思われる張本人のタマは、また、飾ってあった硝子の置物を投げ付けた。

パラパラと砕け散る硝子。



「ベンジャルラレン様、落ち着いて下さい!」

家来達が、宥める様に必死で声をかける。

「これが落ち着いていられるか?!皇子であるこの俺様が!これだけコケにされて置いてーー!!!」


皇子である自分に平気で楯突くクラスメイト。

手に入らない聖女。



「あいつ等さえいなければーー!!」


腹立たしいのは、奴等に実力があるという事実ーー!!

戦ってみて分かったのは、奴等に、自分と同様の実力が備わっている事。

力づくで聖女を物にしようとしても、あいつ等が邪魔する限り、成功する事は無いーーー!!!




「しかし、実際、聖女の力は本当にあるんですかね?」

っと、1人の家来が言う。

「ーー何?」

「話では聞きましたが、実際に見た事はありませんしーー第一、本当にベンジャルラレン様に相応しいお力なのかも、ハッキリしません」


ヨウナが聖女の力を発揮したのは、ルナマリアに力を与えた、あの1度のみ。

以降は、タマを用心する意味でも、聖女の力を使っていない。


「…そうだな。確かに」

「1度、聖女の力を確認するのがよろしいかと…」

「ふむ」


タマは、ドカッと乱暴に、赤いソファに腰掛けた。

「何か名案でもあるのか?」

「良い情報を仕入れております」

「良いな。話してみよ」

家来の発言に、先程までとは違い、気を良くしたタマは、ニヤニヤと微笑んだ。





***


本日も次いで、2人組の接近戦訓練。


「はっ!今日は貴様かー!俺様とペアである事を光栄に思えよ!」

「……最低の1日だよ」


本日のタマのペアに選ばれたのは、ルナマリアだった。


(私魔法使いなのにーー!!!)

文句は山ほどある。

訴える視線をカザン、モモに送るも、2人は満面の笑みを浮かべるだけで、何もしてくれそうにない。


タマの相手はこれまでフラン、ジュリアスが引き受け、次に選ばれたのがルナマリアだった。


クラスメイト達は揃ってタマとのペアを嫌がっているので、最早ペアの発表が罰ゲームみたいになっているのを、当の本人であるタマは気付いていない。



「さて!今日の授業は今迄とは少し違う事をするぞ!」

「……嫌がらせかな?」


(なんでルナの時に違う事するのよーー!!!)

と、絶叫したい気分だ。


「今日は別に対戦相手を用意しているので、その対戦相手を、ペアと協力して倒してくれ!」


(無茶言うなよーー!!!)


カザンの言葉に文句しか無い。

ルナマリアは手を挙げ、カザンに質問した。


「魔法は使っても良いですか?」

「うむ!駄目だな!攻撃は物理攻撃しか認めていないぞ!」


(こいつ等ーー)

教師に対して怒りが湧くのは初めてだ。


攻撃魔法が使えないと言う事は、対戦相手を撃破する為には、どうしてもペアであるタマの力が必要になる。

しかし、今までのタマを見ても、誰かと協力して何かをするタイプには微塵も思えない。


ルナマリアは、恐る恐るタマの方を見た。


「ふん!安心しろ!俺様は貴様如きの脆弱な力など必要としていない!!」

(マジか!!良かった!!!)

それは要約すると、勝手に戦ってくれると言う事ですね!と、ルナマリアは解釈した。



「但し!俺様は貴様がどうなろうと関係無い!自分の身は自分で守るんだな!!」

「勿論。じゃあお互いに、無関心、干渉なし、距離を取る、無関心、干渉無し、距離を取る!で、行きましょう」

畳み掛けるように大切な事なので2度ずつ言う。


突き放したつもりなのだが、強く肯定され、こうも念押しされると逆に腹が立つのか、タマはルナマリアをキツく睨み付けた。




「では!本日の君達の対戦相手はーーこの方々だーー!!」

バッ!!とカザンが手を振り上げると、ドーム型施設の奥の扉が、ゆっくりと開いた。



そこから、ゆっくりと、現れるのは、狼型の魔物の群れーー。



「「!」魔物!?」

生徒達はそれぞれ驚き、急いで武器を取り出した。





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