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本日のタマのペアに選ばれたのは、ジュリアス。
フランは兎も角、喧嘩腰のタマと血の気の強いジュリアスとのペアでは、激しい戦いになるのは必至。
「皇子であるこの俺様に手を上げるなどーー!この無礼者がー!」
「…うぜぇ…」
激しく攻撃をしてくるタマに対し、ジュリアスはそれらを紙一重で避け、合間に、短剣で攻撃を行う。
「くぅ!このっ!平民如きがーー!!!」
ジュリアスに攻撃をされる度、怒りMAXで殺意を込め槍を振るう。
「……」
ルナマリアは、そんな2人を呆れたように見つめた。
(これは最早……殺し合いでは……?)
それくらい、激しい戦いになっている。
「ふむ、互いに血気盛んだな。若いものだ」
30代ガンダルは2人の戦いの感想を率直に述べた。
「よし!2人ともそこまでだ!!」
流石に、教師であるカザンが終了の声掛けを行ったが、止まる気が無い2人は、まだ戦いの手を止めなかった。
「うむ!熱意があっていいな!」
「そーゆー問題じゃないでしょーん?ねぇ、今直ぐ戦いを止めないと、懲罰ものよー?酷いと、退学よー?」
呑気なカザンの台詞を押し退け、モモは2人に向かい、特にタマに効果抜群の台詞を吐いた。
「っ!くそったれ!!!」
効果は抜群だ!
タマは戦いの手を止め、その場に立ち止まった。
ジュリアスも、次いで戦いの手を止め、その場で止まる。
互いに激しく睨み合う2人ーーー。
「あんた達話聞いてた?殺し合い厳禁だって言ってるでしょん?特に皇子様は連続よん?」
前回のフランは、タマが殺意を持って攻撃しても受け流していて、攻撃を仕掛けなかった。
だからまだ落ち着いていたただけで、殺意を持ち、攻撃していたのには変わらない。
「この俺様に楯突く気かー!!」
教師が普通に生徒に注意をしただけなのだが、タマはお怒りMAXで怒鳴った。
「退学になりたいのん?」
「ーーっ!くそ!!」
退学になりたくないタマからすれば、キラーワード。
大変便利な言葉で、モモは遠慮無く使用している。
「分かったら、大人しく、大人しくん、待機していなさい」
強制的に終了させられた2人は、そのまま目線を合わさず、互いに距離をとった。
「一件落着か」
「うん。良かった」
様子を見ていたガンダルとルナマリアは、ホッと息を吐いた。
ジュリアスも大概血の気が多い。
タマの事は完全に敵認定しているようだし、敵意剥き出しで攻撃されれば、歯向かうのは当然。
それでも教師がジュリアスを問題児のタマと組ませたのは、タマと対等に渡り合える人物が限られるからだろう。
性格に問題があっても、タマはとても優れていた。
(どんだけ優れてても、よくこんな問題児学園に入学させるな…)
それを言ってしまえば、裏社会の住民のジュリアス←ゲームでは。や、戦闘狂や魔物喰いも問題児なので、攻略対象はほぼ入学出来なくなるのだが……
問題児であるタマを含んだ2人が待機させられた事で、以降の授業は、何も問題無く、進行する。
ヨウナも、自身の武器である鎖を上手く使える様に、必死に練習しているし、フラン、瑞月、レンも、それぞれがペアの相手と鍛錬を積んでいた。
「大丈夫ー?ジュリアス」
授業終了後、強制的に待機させられたジュリアスを心配し、ルナマリアは声をかけた。
「……別に。特に問題無い」
目線を合わせず、冷く返答するジュリアス。
「そっか。良かった」
時間が経ち、頭は冷えたようで、落ち着いている事に安堵する。
「おーい。血気盛んなジュリアス君大丈夫ー?」
「てめぇは…舐めてんのか!」
ジュリアスを心配してか、ゾロゾロといつものメンバーが集まってくるなか、ふざけた様に尋ねる瑞月を、ジュリアスは睨み付けた。
「本当に心配したよ」
「怪我はしていませんか?大丈夫ですか?」
フランとレンも、声をかける。
「…別に。問題無い」
こちらは真っ直ぐに気遣う言葉をかけて来たので、ジュリアスは一瞬、戸惑ったように言葉を詰まらせた後、目線を合わせずに、答えた。
「あはは。照れてるー」
「照れてねぇ!」
そんなジュリアスをからかうように声をかける瑞月に、ジュリアスは顔を赤く染めながら怒鳴った。




