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家来2名に対し、ルナマリア達だけで5人。


多勢に無勢な上に、優秀だと噂されるリアリテ学園の生徒に囲まれているのだから、逃げるのも仕方無い。とは、俺様第一、俺様第二、第三のタマにはならない。


「俺様の為に、死しても聖女を連れて来る位の忠誠心を見せろ!この役立たずが!!」

ドガッと、頭を垂れる家来の頭を、タマは踏み付けた。



「いいか?!次、聖女を俺様の前に連れて来なければ、お前達の首が飛ぶと思え!」

「そ…そんな…!」

「言い訳は聞かん!!」

ドガッと、顔を蹴り飛ばすと、タマは乱暴に、置いてあった自身の武器、槍を手に持った。



「どいつもこいつも…!俺様に逆らう奴等は、全員、許さねぇ!」

ギリッと歯を食いしばりながら、家来に向かい一閃する。

「ひぃ!」

家来の顔の直ぐ横に走る一筋の鋭い刃先。


「つ!次は必ず!必ずヨウナ様をお連れします!!」

家来達は、揃って地面に頭をつけながら、タマの望む言葉を告げた。







***


「ルナマリアは、タマ様の事を知っているんですか?」


放課後、あの後、作戦会議と銘打って、ルナマリア達は食堂にいた。

ジュリアスは前もって調べていたと言っていたから、ある程度の情報を持っているのは分かるが、ルナマリアも、タマの事を知っていそうで口振りをしていたので、レンは尋ねた。


「あの残念モラハライケメン男の事?」

「……そうですね」


モラハラが何の事だかは分かないが、タマの事を指しているのは分かるので、レンは少し間を置いて、肯定した。


「前も言ったけど、直接会った事は無いよ」

ゲームの中でなら会ったけど。

「知ってはいるんですか?」

「んー。ヤバい奴ってのは知ってる」



攻略対象者は揃ってヤバいが、タマも結構飛び抜けてヤバい。

まず序盤完全にヒロイン道具扱いするし、中盤も躾と称して暴力を振るうし、後半は見事に洗脳させられたヒロインに飴も与えつつ、見事に自分の物にするーーってゆー。


魔王討伐も、世界が滅びるから仕方無くしてるってゆーか、魔王が喧嘩売って来たから買ったってゆーか。

一瞬たりとも私はときめけなかった。



(まぁタマに限らず、攻略対象者全員にときめいた事は無いけど…)

寧ろ恐怖の対象。



「ジュリアスの部下は、どんな情報を持って来てたんだ?」

フランは、夕食に頼んだ食事を食べながら、ナナメ向かいに座っているジュリアスに尋ねた。


「……部下の話では、祖国でも我儘放題で見放されていて、学園にほぼ無理矢理留学させられたって話だ。首都アールレンに来てからも傍若無人の態度は変わってない」

自分に付いてきた家来に対しても、自分の意にそぐわない事をすれば平気で罰する。


「俺がアールレンに来て、最初に人身売買をしてる裏稼業の奴等をボコったが、そいつ等から奴隷も購入してる」

「うっわ。最低ー」

ジュリアスの情報に、瑞月(みづき)は露骨に怪訝な表情を浮かべた。


「…そんな人が…私を…」

家来に酷い罰を与え、人身売買を平気で行う危ない奴が自分を狙っている。

ヨウナの表情は真っ青に染まった。


「今回も先生は動いてくれないのかな?聖女が関わってるのに」

「聖女の為なら、動くんじゃないか?」

「絶対無い」

ルナマリアはハッキリと言い切った。

聖女はこの世界を平和へと導く者って言われてるけど、それは、守られる存在としてでは無い。



(どっちかって言うと、世界の平和を守る為にって、危険な任務に行かされたりするからな…)

ヒロインをとても良くこき使ってくれる。



「タマ様の狙いは、ヨウナの聖女としてのお力でしょうから、命はとらないと思いますよ」

不安げなヨウナに対し、フォローするレン。



命は取らないけど、人としての尊厳や自由や意志を奪うけどね。

とは、ヨウナをこれ以上怖がらせない為にも言えない。



「てかさー話聞いてると本当にヤバい奴じゃん?どっちかって言うと、逆らった僕達がヤバいんじゃない?ヨウナと違って、死んだって困らないんだから」

「そ…そんな…!」

サラッと怖い事を言う瑞月(みづき)の台詞に、1人、ヨウナだけが動揺し、周りにいるルナマリア達に視線を向けた。


「それなら好都合だな」

「ええ。ヨウナは安全ですからね」

ただ、当の本人達は、何も気にしていない様で、顔色1つ変わっていない。


「でも狙いはヨウナである事に変わりは有りませんし、用心するのに越した事はありませんよ」


「ヨウナ、念の為、朝、私と一緒に登校しよう?」

「ルナマリアちゃん…!」

曇っていた顔色が、少し晴れる。


幸い、クラスメイトは一様に、聖女となったヨウナに好意的になった。

王族に睨まれるのを嫌がり、傍観に徹する者もいるが、手を貸す生徒はいないし、授業中は教師の目もある。

授業中は比較的安全と言える。


「俺達も一緒に行くよ」

「大丈夫だよ?」


フランの申し出を即座に断るルナマリアに、フランはガクッと肩を落とした。



「次、完膚無きまでに叩き潰そうと思ってるから」

「ルナマリアちゃん…!」

真っ直ぐな目でハッキリと断言するルナマリアに、ヨウナは正義のヒーローを見るような、キラキラした目でルナマリアを見つめた。


「良いんですか?留学生とは言え、この学園に入学出来たからには、ある程度強いと思うのですがーー」

「家来しか来ないよ、多分」

タマはある分岐点までは、無理矢理学園に行かせた砂丘の国ハロゲンに対する反抗のつもりか、学園に一切来ず、寮で過ごしていた。


(多分、もうすぐ分岐点が来る)

そうすれば、本人ーータマ自身が出て来る。



出来れば一生会いたく無いし、関わり合いになりたくないし、今すぐ逃げ出したいけどーーー




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