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鋭い家来の目付きに、また殴られるかもと恐怖し、否定出来ずにいるヨウナ。

「さ、ではこちらです」

「痛…っ!」

丁寧な口調だが、エスコート自体は乱暴で、ヨウナの手を強く引いた。



「ーーーーーーーー待って」


長い長い沈黙の後、ルナマリアは、ヨウナと、家来2人の前に立った。



「ルナマリアちゃんっ…!」

ルナマリアの顔を見たヨウナの表情が、涙を浮かべ、怯えていた表情から、安堵したような表情に変わった。




(やっぱり無理!こんな胸糞悪い奴等の好きにさせるのは無理!)


「エスコートの仕方がなってないよ、おじさん達」

無表情で無機質な声色で、ルナマリアは告げた。



「ああ?なんだ?一介の冒険者如きがーー」

「一介の、たかが砂丘の国ハロゲンの皇子如きが、聖女に何の用?おじさん」

家来の言葉を上乗せして、言い返すルナマリア。


「何っだと!」

「聖女に対しての乱暴は止めて欲しいな」


腐っていても、王族に逆らうのは本当は良くないのかもだけど、聖女を守る名目があるし、そもそも、皇子ならしっかり、ちゃんとしろよ。って思う。



「皇子って一応国の代表でしょ?その家来がこれじゃ、本当にがっかりだよー」

「貴様っっ!」

怒りに任せてルナマリアに掴みかかろうと手を伸ばす。


「ーーおい」


が、その前に、ジュリアスが家来の体を蹴り、吹っ飛ばした。



「かっはっ!」

壁にぶつかり、衝撃から泡を吹いて気絶する。


「ルナに手ぇ出すな」

ギロリと睨み付ける。



「なっ!お前達!ベンジャルラレン様に逆らって、ただで済むと思うのか!」

残された1人の家来が、気絶した家来を介抱しながら、叫ぶ。



「そもそも君達が嫌がる女性を無理に連れて行こうとした事が発端じゃないか。ルナマリア達は悪く無い!」

「そーそー。それに、僕達冒険者だし、所詮、他所の国だよ?権力そんな関係ある?」

フランと瑞月も、追随してフォローする。


貴族でも無ければ、国の代表でも無い。

砂丘の国ハロゲンでは、皇子様の力は偉大だったのかも知れないが、正直、そんなに大きな国では無いし、少なくとも、ルナマリア達には、影響は無い。



「リアリテ学園に留学して来たのですから、この学園の特殊さと特別なのは、理解しているのでしょう?優秀な人材を集めた、特別な学園で、ある意味、無法地帯とも言えます」


育てる事にだけ特化して、学園内の揉め事に教師は関与しない。


「そんな無法地帯に留学されたのですから、何かあっても、不思議では無いんです……気を付けた方が宜しいかと」


レンは終始親切のつもりで、リアリテ学園に対する説明と、忠告を行ったが、家来は、脅しと受け取ったようで、顔が真っ青に染まった。



急いで、気絶した家来を担ぎ、教室から逃げるように退散する。

「やるねーレン」

「そんなつもりでは無かったのですが…」

怯えて退散して行く家来の姿を見送りながら、瑞月は賞賛を送り、レンは首を傾げた。





「ルナマリアちゃん…!」

「大丈夫だった?ヨウナ」

ルナマリアに駆け寄ると、ヨウナは涙を拭いながら、助けてくれた全員に向かい、頭を下げた。


「本当に…ありがとうございます」

「本当に助けて良かった?大丈夫だよね?」

結果、恋路のフラグをたたっ切ってしまったので、心配になる。



「??も、勿論です!私…本当に、怖くて…」

ヨウナの表情からは、余計な事しやがって!等の感情は無く、本当に安堵しているように見える。


「良かったぁーヨウナが恋愛出来なくなったらどうしようかと思ったー」

「ルナマリアは一体、何の心配してるんだ…?」

自分でも何を言っているのか最早良く分かっていないが、フランがきちんとツッコんでくれた。



「でも多分、あの手の男は執拗いよー」

過去、ストーカー被害にあった瑞月の分析では、家来を使い、無理矢理にでも連れてこようとする男は中々諦めないらしい。


「そ、そんな…」

瑞月の台詞に、不安げに真っ青になるヨウナ。


「タマ、俺様気質だしなぁー」

「……一応、皇子様なんですけどね」

他所の国とは言え、気楽に皇子様をタマ呼びするルナマリアに、レンは小さな声で呟いた。


「大体、自分から誘いに来ないとこからして、タマって男らしく無いよねー」

「全くだ。タマは駄目だな」

「うざいな、タマ」

既にレン以外はタマ呼びで確定されたようだ。


「……タマ様、諦めて下さると良いんですけどね」

レンも諦めて、タマ。ただ、せめて様をつけて呼ぶ事にした。



(まぁ、諦めないでしょうね)

っと、ルナマリアは思った。



タマは俺様気質で、全てが自分の思い通りにならないと気がすまないタイプだ。

ゲームでもヒロインを手に入れる為に、ありとあらゆる汚い手を使い、他の攻略対象者達も蹴落として行く。


(きっと、邪魔をした私達の事を、タマは許さない)

ルナマリアは、窓の外を、冷めた目で見た。









***



ガッシャンッッッッ!!!!!!

「おい!どういうことだ!何故聖女が俺様の所に来ない!!!!」



案の定、聖女を連れて来なかった家来に対して怒号し、タマは感情のままに、飲んでいたガラスのコップを顔面に投げつけた。



「申し訳ありません。クラスメイトのガキ共が邪魔をしてきて…」

「クラスメイトのガキ共だと!?そのガキ共相手に、お前等はのうのうとやられて戻ってきたと言うのか!?この恥知らずが!!!」

「申し訳ありません!!」



投げつけられたガラスのコップの破片で顔面から血を流したまま、家来は頭を地面に擦り付けながら謝罪した。


「ただ…腐ってもあいつ等、ここら辺で優秀な奴等でして、とても強く、向こうの方が人数も多かったので…」

「それがどうした?!俺様は砂丘の国の王位継承者だぞ!偉いんだ!そんな俺様に仕えてる身でありながら、情けない事を言うな!」











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