表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/103

79







正式名称

ベンジャルラレン=マグネシス=タマ=ハロゲン。



通称タマ。


名前が長過ぎるので、1部ファンからはタマと呼ばれていた。



(こいつも例外無く、クソ最低な奴なんだよなぁ)

はぁーーー。と、ルナマリアは大きく溜め息を吐いた。



(ヨウナが聖女だと知って、行動を始めたのか…)



タマは、特別な留学生の立場から、実力テストも受けず、授業にも参加せず、サボってばかりいた。

半ば強制的に留学させられた彼は、いつ退学になっても良いと考えていた。


そんなタマが行動を始めるのは、ヨウナが聖女だと知ってから。



タマは聖女を欲する。

力を手に入れる為にーー手段を選ばずに。




「貴女の意見等聞いていません。貴女はただ、はい。と答えれば良いのです」

「え…え?」

「もう一度聞きます。私どもの主がお待ちです。一緒に来て頂けますか?」

タマの家来は、誘いを断るヨウナに、再度、聞き直した。


聞いておきながら、肯定でなければ受け入れない。


「わ…た、し……」

戸惑うヨウナ。


普通、こんな得体の知れない奴等にいきなり付いて来いと言われるだけでも怖い。


ただ、押しに弱く、優しいヨウナは、中々ハッキリと断れない。



「ちっ!」

バチンッッ!!

「ーーえ」

タマの家来は、返事を濁すヨウナに対して、急に、頬を平手打ちした。

赤く染まるヨウナの頬。


「なっ!聖女様に何て事をーー!」

「私どもの主は、砂丘の国ハロゲンの王位継承者の1人ですよ?!一介の冒険者如きが、皇子に歯向かう気ですか?!」

ヨウナに群がっていたクラスメイトが反抗しようとすると、家来は

大きな声で威嚇した。


「なっー!」

「失礼しました、ヨウナ様。一緒に来て頂けますね?」

再度、ヨウナに問う。




「あいつ等…!」

「待って」

フランは、女性に対する暴力に対し憤慨していて、直ぐに立ち向かおうとした所を、瑞月(みづき)が止めた。


「どうしてだ?!あんな奴等、好きにさせてーー」

「落ち着いてよフラン。もう授業始まるから、モモちゃん達来るよ」


時計を見ると、授業開始まで1分を切っている。

家来達も、それを理解している様で、チラリと時計を見ると、再度、ヨウナに向かい舌打ちをした。

怯えて、ビクッと体を揺らすヨウナ。


「…放課後、お迎えに上がりますので、くれぐれも逃げずに、ついてきて下さいね」

ヨウナの返答を待たず、家来達はスタスタと教室から去った。





ガララ。

入れ替わりで教室に入って来るモモ。

「はぁーい。授業を始めるわよぉ」

モモはいつもの様に、授業を始めたーーー。




座学授業中。

机に座りながら、ルナマリアは先程までのタマの家来のやらかしを振り返った。


(あーーー!!やっぱり最低だったな!!!)

ガンッと、頭を机に押し付ける。


(この最低最悪の誘いに、誰が行くかボケ!って思ってたけど……実際生身で見たら、本当に最低な誘い方だったー!)


どこの世界で、いきなり言う事を聞かなかった女の子を平手打ちするような家来を持つ男を好きになれる?

恋に落ちれる?

いや、今の所要素無いし、怖いよ!!!恐怖しか無いよ!!!

いや、好きになるのか!

ヒロイン本当に凄いよ!絶っっっ対、男見る目を養った方が良い!!!



ルナマリアは1人、机の上で悶絶した。


(危なかった……魔法ぶっぱなしそうになった)


胸糞悪かったので、本来なら魔法で排除する所なのだが、怖い事に、この誘いを無理矢理受けさせられる事が、出会いのエピソードなのだ!

ヒロインと攻略対象の恋路を邪魔してはいけないと必死に我慢したが、マジでヨウナが可哀想過ぎて辛い……。



(好きになるまでの過程も結構辛いんだよな……いや、本当に良く好きになれるよ。って関心するくらい、酷い)


床に這いつくばって靴を舐めさせたり、残飯を食べさせたり、自分の命令を聞かないと、躾と称して、暴力を振るったり……。



『私が悪い子だから、私が悪いんだ…』

と、思うその思考が、駄目なんだよヨウナ!!



ぐしゃぐしゃと、開いていたノートを強く握り、めちゃくちゃにする。


(分からない…ほっとくべき…なんだろうけど)



ルナマリアの目的は、ヨウナと、攻略対象が結ばれ、共に魔王を倒すのを見届ける事。

その為には、恋に落ちなければならない。

恋路を邪魔するなんて、以ての外。


(分かってる!分かってるのに…!)



ヨウナは、頬を殴られた後、一瞬、涙を堪えた、悲しい顔で、こちらを見た。

それは、助けて欲しいと、言われているようでーー。



そんなヨウナを、このまま、ただ、見守る。



(辛いーー!!!)

ゴンッと、再度机に強く頭を打ち付けるルナマリア。




「モモちゃーん。ルナマリアの様子がおかしいみたいだよー」

手を挙げながら、先程からのルナマリアの奇行をチクる瑞月(みづき)

「もぉほーっておきなさぁい」

モモは黒板を書く手を緩めず、スルーをきめこんだ。




(ああー!こんな事ならやっぱり入学なんてしたくなかった!目の前で見ちゃったらただただ気分悪いよー!!)


幾ら最終的にヨウナもタマを好きになるとは言え……いや、本当に良く好きになれるよ。

凄いよ。ほんと何で?だけど。


(頼むからもっと普通に口説いてくんないかな…)

普通の恋路なら素直に応援出来るのに、こんな不幸になる未来しか見えない恋路、どう応援すればーー?!?



(あの最低最悪俺様モラハラ残念イケメン男ーー!!)


ルナマリアは、長過ぎるタマの通り名を、心の中で思いっきり叫んだ。





放課後ーーー。



「ヨウナ様、お迎えに上がりました」

ご丁寧に教室まで迎えに来るタマの家来達。

当のヨウナは、1度も行くなんて言っていないのに、既に了承したように進める。


「…わ…わた、し…」

「何か?」

「っ…いえ…」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ