表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

69/103

69






普通の学校は教師が間に入るものだが、この学園では違う。と、ハッキリ断言される。


「そんなっっ!」

「ここでは自己責任。あのねぇ、殆どの生徒が冒険者で、優秀だってだけで入学させてるような場所よ?」


優秀であれば、性格に難アリだろうが、裏社会出自だろうが、関係無く入学出来る。


「問題が起こらない訳無いじゃないん。イジメなんて、まだ可愛いものよ」


実際、目の前の攻略対象達の方が、ゲームではヒロインに酷い事をやってのける。

人身売買しようとしたり、暴力を振るったり、斬りつけたり、暴言を吐いたり、ストーカーしたり、危険なダンジョンに放り込んだり……やりたい放題、酷い事をする。


「同じ冒険者同士なんだし、自分達で解決しなさい」

ハッキリと突き放される。


「……1人、ルナマリア以外にも、イジメに合っている生徒がいますが……」

と、レンはヨウナの事を指した。

彼女は、モモの言う冒険者には当てはまらない。



「そうねー。それは可哀想よねん」

ヨウナはただの村娘出身で、ルナマリアとは違い、深く傷付いているように見える。

ただの村娘には、冒険者を相手取り、立ち向かう事は出来ない。


「彼女の事は、おいおい考えるわー」

「そんな悠長な…」

「リアリテ学園は命の危険も付き物だって、入学の案内にも記載されてたでしょー?イジメくらい、本来、自分で対処して貰わなきゃねぇん」


ルナマリアは面倒がって読んでいないが、ここリアリテ学園は、授業の演習と称し、戦闘訓練や、何か外で問題が起き、依頼が来たら、対処にも行く。

ある程度の配慮は行うが、その中には、危険な魔物の退治の依頼も、ある。


長いリアリテ学園の歴史では、生徒が死亡した例も存在する。


ゲームでは、戦闘に負ければ、ゲームオーバー。

ただ、それはゲームだから、ロードすれば済むが、現実では違う。



「……貴方達、ルナマリアちゃんの事を言いに来たなら、それは大きな余計なお世話よん」

「どーゆー意味だよ?」


はぁー。と、モモは大きなため息を吐いた。

「ルナマリアちゃんって、黙ってやられるタイプなのん?」

「黙ってーー」

モモの言葉に、4人はルナマリアの過去の行動を思い返した。


襲い来る魔物は勿論、悪党パーティ、清香(きよか)先生、ミスティアお嬢様。

降り掛かる火の粉を容赦無く、ルナマリアは払い除けてきた。



「ルナマリアちゃんは優秀な魔法使い」


それは彼女と行動を共にした者なら、誰もが理解する。


「そして、自分が害あると判断したものには、全力で立ち向かうタイプでしょん?」


フラン達には意味が理解出来無いが、前世ではパワハラやセクハラを訴えたりと、前世から戦っている。


「今、ルナマリアちゃんをイジメてる子達なんて、ルナマリアちゃんからしたら、対した事の無い相手なのよん。ルナマリアちゃんにとっては、相手にする価値も無いの」

彼女にとっては、取るに足らない相手。


「私達の力なんて必要としてないのよ、ルナマリアちゃんは」

やる気になれば、彼女はすぐに、いつでも、どこででも、立ち向かう事が出来るのだからーー。




モモの言葉に納得したのかは不明だが、攻略対象達は、教師がイジメについて何の対処もしないと分かり、そのまま、職員室から立ち去った。


「……真面目ねん」

「うむ!いじめっ子達は自分の立場に気付いていないな!」

出ていった攻略対象達を見ながら、モモとカザンは言った。


間違い無く、この学園で最も優秀な者達の一角が、ルナマリアとその攻略対象達なのだ。


「まともに立ち向かって適うはずないのに、馬鹿よねぇん」


今は見逃して貰っている立場だと言うことを、いじめっ子達は全く気付いていない。

正しく、自分の実力と、相手の実力を判別出来ていない。


「ああ!彼等を本気で怒らせても、いじめっ子達に勝ち目は無いのにな!」

律儀に教師に助けを求めて来たが、教師は、自分達で何とかしろ。と言った。


教師は手を出さない。助けない。

それは言い換えれば、相手にも当てはまる。


「教師が手を出さない事を、きっとあの子達が後悔する事になるわー」

「うむ!」


モモ達はそのまま、何も気にせずに、通常の業務ーーモモはお酒を飲み、カザンはスクワットを始めた。






***


次の日、朝。

いつもの様に朝食を堪能し、ルナマリアは教室へ向かう。


「おはようございます、ルナマリア」

「おはよう、レン、ジュリアス」

後ろから声をかけられ、振り向いて挨拶する。


朝から爽やかなレンと対照的に、不機嫌オーラMAXのジュリアス。

「今日も朝からご機嫌だねー」

「…嫌味かよ…」

朝の弱いジュリアスにとって、登校は毎日が戦い。


「お母さんにもっと感謝しなきゃ駄目だよ」

そんなジュリアスを毎日起こし、登校まで根気よく声をかけ、連れて来てくれているレンの姿は、保護者ーー母親に見える。


「母親になった覚えはありませんが……毎日、朝が弱いのに、ジュリアスは本当に凄く頑張っていますよ」

毎朝ジュリアスの面倒を見るのは大変だろうに、笑顔でジュリアスを褒める。


「………」

いつもなら何か反論しそうな所だが(『うるさい』『子供扱いすんな』)、ジュリアスは言葉を飲み込んでいた。

本人も迷惑をかけているのは重々承知しているのだろう。



「おはよう、ルナマリア」

「ルナマリアー!おはよう」

次いで後ろから、フランと瑞月(みづき)の姿が見えた。


「おはよ。あれ?今日遅いね」

いつもフランと瑞月(みづき)は、ギリギリに教室に到着する3人と違い、早目に教室にいる。


「僕が忘れ物しちゃって。フランには先に行っても良いって言ったんだけど、待っててくれたんだ」

「まだ十分間に合うしな。気にしないでくれ」

フランと瑞月(みづき)も、同室同士、仲良くしているようだ。


「…殺伐としている空気、どこ行ったんだろ…」

ゲームでは攻略対象全員、仲が良かった印象が無い。

どちらかと言えば、血みどろの仲の悪さのイメージ。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ