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そしてその特別な力こそが、攻略対象とともに魔王を倒す為のキーパーソンになる。


不安げな表情で、慌てて、特殊枠の生徒達の元に戻るヨウナ。

「凄いな、草木を元気にするんだな」

周りで野次を飛ばす生徒達に反して、フランは素直に賛辞を送り、拍手する。


(凄いよねー)

「そんなに良い男なのに、いつから残念になるのーー?!」

「残念な男になるつもりは無い!!……ルナマリア、多分また心の声と逆になってるぞ!」


フランは的確にルナマリアにツッコミをいれた。





***



入学テストから数日ーーー。


今日も鏡の前で制服を整え、櫛で髪をとくと、出窓を開け、よじ登った。

魔法を使い、地面に降りる。


「ふわぁ


毎日毎日、どうして朝は眠いのか。

慣れない学校生活に疲れて、毎晩早く寝ているのに、寝ても寝ても眠たい。←いつも。


「でも早く行かなきゃ…!」

ルナマリアはそう言うと、眠たい目をしっかりと開き、パタパタと、ゆっくりのスピードだが、走った。


まだ登校には早い時間。

だが、ルナマリアにはお目当てがあった。




ーー食堂ーー


「はぁ…」

食堂の窓際の席で1人、朝から優雅に珈琲とパンを頂くルナマリア。


「幸せ」


早起きをしてでも、ゆっくりとモーニングを味わいたいと、ルナマリアは授業前にこうして珈琲を頂いている。


(無料だと思うと、つい利用しないと勿体無いと思ってしまう…)

つくづく庶民である。


「あれ?ルナマリアじゃありませんか」

「レン」

「おはようございます」

数冊の本を抱えながら、同じテーブルに座るレン。


「朝から勉強?」

「いえ。珍しい本が沢山あるので、読んでいるだけですよ」


レンが手にしているのは、学園創立までの歴史。や、薬草の種類。や、魔法学について。

見ているだけで頭が痛くなりそうな本なのだが、彼からすれば、それ等を読むのは勉強でも無く、ただの趣味のようなものらしい。



ルナマリアと同じ珈琲を注文し、口に運ぶ。


「レンが朝早いの珍しいね」


誤解しないで欲しいが、レンの朝は早い。

昔から、病弱な母親に変わり朝早くから家事をし、仕事をこなし、寝る間も惜しんで勉学に励んでいた。

そんなレンが、学園生活において登校が遅いのは、同居人が原因だった。


「今日は図書室に寄りたかったので、先に出る事にしたんです。ジュリアスにはちゃんと、声をかけてきましたよ」

「そっかぁ」


(今日はジュリアス、遅刻だなぁ)


反対に、ジュリアスは完全に夜行性で、朝が弱い。

レンはそんな同居人のジュリアスを、律儀に毎朝起こし、学園まで連れて来ていた。

レンがいない今、平気で2度寝している未来しか見えない。


「ルナマリアはいつもここでゆっくりしてから、教室に行っているんですね」


早起きして食堂にいるが、いつもギリギリまでここでゆっくりしているので、教室にルナマリアが着くのは遅い。


「うん。パンと珈琲で朝食って、会社に行ってた頃みたいで懐かしいよ」

「会社??」



社畜時代はこんなにのんびりと朝ごはんを味わう暇も無かったけど、旅をしていると、朝ごはんを食べなかったりする事も多いし、何より、珈琲は飲めない。


前世では珈琲、眠気覚ましの為にも良く飲んでたもんね。



そのまま2人で、ゆっくりと朝の時間を過ごしていると、ふと、何か言いたげにしているレンに気付いた。


「何?」

「…え?」

「ずっとこっち見てるから」


ルナマリアの問いに、レンは一瞬、言いづらそうに言葉を詰まらせるも、きちんと声に出した。


「っ。あ、あの……ルナマリア、辛くは無いですか?」

「全然。何で?」

意図が掴めず、きょとん。と答える。


辛い?辛い?

思考を巡らせ、最近の辛い出来事を思い返してみる。


「あ!」

思い付く事があり、声を上げる。

「勉強!運動!規則!時間割り!」


勉強は運動は勿論。

1人で旅をしている時は、自由に行動出来ていたので、時間通りに行動しないといけない時間割りも辛い。


規則も、前世の学校程じゃないけど、ある。

寮で生活する事。とか、首都から離れる際や、長期で休む時は学園の許可がいる事。とか。

面倒臭くて辛い。


「……が、学校生活がむいていませんねーーって、それだけですか?他には有りませんか?」

「他??」

んー。と、再度思考を張り巡らせてみる。


学園に通う事自体が本当に嫌だったけど、女神様のお願いでもあるし、持ち直したから、辛いけど、まぁ大丈夫。

こうして食堂の食事を楽しみに生きている。


(旅をしていた頃と違って、毎日屋根のある部屋で休めて、ベットで寝れて、ご飯も美味しくて)

辛い事もあるけど、その分良いこともある。


「うん。やっぱり無いかな」

他には何も思い付かなくて、無いとハッキリ答える。

「そう…ですか」

ただ、尋ねてきたレンは、ルナマリアの答えに、どこか納得していないようだった。




教室まで一緒に歩き、ガラッと扉を開ける。


「!ルナマリア!」


そんな中、先に教室にいた瑞月(みづき)が、入室して来たルナマリアを見て、焦った様に駆け出した。


「ちょーーっと!待って!僕と一緒に外に出よう?」

「もう授業始まっちゃうよ?」

いつもの様に開始時間ギリギリに教室に来たのだから、そんな時間は無い。

「えっと、あの、」

「?」

瑞月(みづき)の態度を不審に思いながら、教室の中を覗く。



そこには、乱暴に倒され、机の中身が散乱している、ルナマリアの机があった。



その近くには、机や、散乱された物を直そうとしているフランの姿もある。

「ルナマリア…」

心配そうにルナマリアを見る瑞月(みづき)



「わぁー今日は一段と派手だねー」

そこには、あっけらかんとしているルナマリアの姿。

あまりにもアッサリしているルナマリアの態度に、何故か脱力する。

「ル、ルナマリア?大丈夫?」

「うん」






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