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ルナマリアは予感していた。
(きっと、魔力を解放すれば、これは、木っ端微塵に吹き飛ぶ…!)
そう思い、ルナマリアは先程からずっと水晶玉と睨めっこしていた。
きっと高価な水晶玉!
壊せば、大変な事になる!!
(……よし、少し、少しだけ解放しよう)
方向性を決め、水晶玉と向き合うルナマリア。
「ーー少しーー」
(難しい…!)
ルナマリアは感覚型である。
魔法は感覚で覚え、使用している為、やろうと思うと、変に上手くいかない。
睨めっこを続ける事数分、やっと、水晶玉が、レンや瑞月と同じくらい光った。
それは、魔法使いにしては、とても少ない魔力量。
「よし!」
だが、1人、ルナマリアは満足して、頷いた。
水晶玉の回収を終えると、モモは、生徒達に向きなおした。
「皆、お疲れ様ん。今から昼食の時間をとるわん。午後は再度、ここに集まって頂戴」
「やっとか…」
長い拘束時間に飽き飽きしているジュリアス。
「流石に疲れましたね」
「お腹も空いたぁー」
レンと瑞月も、疲れた表情を浮かべた。
「ルナマリア、一緒に食事にしよう」
「うん、いいよ」
何となく、この4人と一緒に行動する事が普通になったルナマリアは、自然に返事をした。
「あ、ねぇ!」
そのまま5人で一緒に、リアリテ学園の食堂でも行ってみようと話し終えた所で、同じクラスの女子生徒数人に、声をかけられた。
「食堂に行くの?私達もご一緒して良い?」
それは、教室でキャーキャー歓声を浴びていた女子生徒達で、頬を赤らめながら、フラン達を誘っている。
「あ、ああ。勿論」
急なお誘いに戸惑ったが、すぐにフランは了承した。
「きゃー嬉しい!ありがとう!」
女の子達は、歓喜の声を上げた。
「いやぁー、若いねぇ」
「……ルナも同い歳だろ」
そんな女の子達を見ながら呟くルナマリアの台詞に、人数が増えるのを納得していない不機嫌なジュリアスは、つっこんだ。
***
昼食後ーーー。
再度、ドームのフィールド。
「ふぁああ」
お腹いっぱいで眠気MAXのルナマリアは大きな欠伸を手で隠しながらした。
「ルナマリア……大丈夫ですか?」
心配そうに声をかけるレン。
「んー眠たい…」
「……」
そんなルナマリアを見ながら、隣で先程よりも更に不機嫌そうなジュリアス。
「ルナマリア、すまない…俺が、了承なんてしなければ…」
「?何の事?」
何故かフランから申し訳無さそうに謝罪される。
「ほんと!信じられないよね!」
隣では、瑞月も何か怒っている。
(……あれ?何かあったっけ……?)
昼食の間に何かあったのか、4人の態度がおかしい。
だが、ルナマリアには心当たりが無かった。
リアリテ学園の食堂のメニューの多さに感動して、美味しくて感動して、更に学生であるうちは無料という太っ腹に感動して、ただただずっと感動していた。
「……」
(……まぁいっか)
考えても答えが出ないので、ルナマリアは考えを放棄した。
「さ、次が最後のテストよぉ。これは、特殊で入学してきた人達だけが受けるテストになってるわー」
最後のテストは、全クラス合同らしく、ルナマリア達以外のクラスも集結している。
「特殊?」
「特別な才能、力を持った人達の事ですよ……お恥ずかしながら、私もその中の1人なんですけどね」
説明していて、自分を褒めた形になったのが恥ずかしいようで、レンは照れながら答えた。
この世界で初めての錬金術師レンや、和の国ではメジャーだが、その外では珍しい、魔物使の瑞月。
2人はその場に残り、特殊枠以外の生徒は、ドームの観客席に移動し、そこから、見学を言い渡された。
「やったぁー座れるー」
喜んで観客席に座るルナマリア。
その両脇に、フランとジュリアスが座った。
レン、瑞月以外にも特殊枠生徒は数人いて、順番にその力を示していく。
錬金術師のレンが、薬草と薬草を組み合わせ、回復薬を作ると周りから大きな拍手が起こった。
「うん。上手になってる」
昔見た時よりも遥かに上達していて、ルナマリアは微笑んだ。
「ーーおいで、グリフォン!」
瑞月が名前を呼ぶと、大きな鳥の魔物が、光を放ち、瑞月の前に現れる。
魔物の出現に一瞬、場内が騒然とするも、先生からの説明と、グリフォンの背に乗り、空を飛ぶ瑞月の姿に、戸惑いを見せる生徒もいたが、最後には大きな拍手が起こった。
順次に特殊枠の生徒が、力を見せる。
その最後ーーー
「あ」
ルナマリアは、最後に現れた少女に注目した。
「最後はヨウナ!君の番だ!」
「は、はい!」
カザンに名前を呼ばれ、緊張しながらも返事をする。
ヨウナーーゲーム《リアリテに舞い降りた聖女》のヒロイン!!
(ヒロインには特別な力がある)
ゲームのプレイヤーとして、ヒロインを操っていたルナマリアは、当然、それを知っている。
ヨウナは、持っていた花瓶の、蕾の花にそっと触れ、目を閉じた。
「ーーー力よ」
祈りを捧げるように、呟く。
すると、蕾の花が小さく光り、蕾みが、咲いた。
「うむ!良し!」
花が咲いたのを確認し、カザンがOKを出す。
「え?何?これだけ?」
「何かショボイな…あの力が何の役に立つんだ?」
ザワザワと、観客席から野次が聞こえる。
(そう。初めは、ヒロインの力って誤解されてるんだよね)
草木に力を与え、実りをもたらす力。
(それも十分凄いと思うけど)
学園の指導者達は、その力の稀有に気付き、学園に招待した。
実りの力を育てる事が出来れば、それは、豊作に繋がり、凶作を防ぐ事が出来る。
ただ、実際、ヒロインの力は多岐に広がるものでは無いから、広範囲は難しく、実りに直結する事は出来ない。
本来の彼女の力は、草木に実りをもたらす力では無い。
(物語を進めると明らかになって行くんだよねー)




