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全員が無事に、剣士・盗賊(シーフ)・魔物喰いーー魔物使(ティマー)・錬金術士に成長し、学園への入学を手に入れた。


それは並大抵の努力ではなし得なかっただろうし、皆の頑張りの証。


「私は皆をこれからも応援してるし、幸せになれるよう、遠くから祈っているよ」

(だからあんまりヒロインを虐めないであげて下さい)


心の副音声が切実に響く。


最終的にヒロインに丸投げする形になってしまうのは本当に申し訳無いが、出来る限りはしたので、許して欲しい。


「明日の入学式は見に行くね」


弟の学校入学を喜ぶ姉の心境で、ルナマリアは笑顔で言った。




「ーーいや!俺達は諦めない!!」



「ーー?はい?」

自分の中では綺麗に締めたと思ったのに、何故かフランは訳の分からない事を言いながら、力強く俯いていた顔を上げた。


「レン、何か手立ては無いか?」

「そうですね……とりあえずは、学校側に訴える事が先決だと思います」

「ルナマリアの凄さを喋ればいーんだよね?!」

さっき出会ったばかりとは思えない程、連携している。


「入学式は明日だ!時間が無い!関係者…まだ校内にいるかどうか…」

何だかんだ時間が過ぎ、もう日が暮れようとしている。


「ーー学園の関係者の身元なら、俺が全て調べてある」

「何の為に…?」


急に怖い事を言い出すジュリアスに、ルナマリアは引き気味に尋ねた。



「でかしたジュリアス!急ごう!」

「え?い、いや、ちょっと待って!!」


ドタバタと急いで、学園の関係者の所まで向かおうとする攻略対象者一同に、圧倒されつつも、ルナマリアは声を出して止めた。


「どうしたルナマリア。時間が無い、急いでいるんだ」

「いやいやいやいやいや、何をしに?」


「決まっています。貴女の入学を直訴する為です」


ルナマリアの問いに、レンが簡潔に答える。


(やっぱりーー?!?!)


会話の流れからしてそうだとは思ったが、出来れば思い上がりであって欲しかった。

私の為に入学を直談判しに行こうとしてくれているのかもだけど、それを私自身が望んでいない!!


「私、別に入学しなくても大丈ーー」




「あらん。ルナマリアちゃんじゃない」


揉めている最中、見知った声が聞こえ、ルナマリアは振り向いた。


「モモさん?カザンさん?」

海の上の楽園で出会った、剣士に魔法使い。


「ふふ。また会ったわね」

「どうしてここに?首都アールレンを拠点とする冒険者だったんですか?」


この世界に敬語云々のマナーはあまり無いが、前世日本育ちのルナマリアは、目上の人には敬語を使う。

但し、自分の年齢を25歳と混合している所があるので、25歳以下にはタメ口、上には敬語を使用している。

あとは、非道な行いをしている相手には敬う必要が無いと思っているので、タメ口。


「俺達は正確には冒険者では無いからな!」

「そうなんですか?」

相変わらず元気に大きな声で話すカザン。



「ーーおい、お前等、リアリテ学園の教師だな」

「えぇーーー?!」


2人を見て、ジュリアスが口を開いた言葉に、ルナマリアが1番驚く。


「嘘でしょう!?あんなずっとお酒飲んで過ごしているような人が、学園の教師だったんですか?!」

「うふふ。そーよぉー。こー見えて教師なのん」

言われてる傍から、モモの手にはお酒の入った缶がある。


確かに、一緒に戦った経験からして、彼等はとても強かった。

「モモは優秀な魔法使いだからな!」

「そう…ですね。ならまぁ、いいのか」


2人の上着には、刺繍で記された、リアリテ学園の文字。


実力主義の学園だし、そう言えば悪行三昧だったジュリアスだって普通に入学したのだから、酒飲みが教師でもそうおかしく無いかと、ルナマリアはすぐに納得した。



(学園の教師の名前は教師①、②で、顔無しだったもんね…)

例え名前が出ていたとしても、教師の名前まで覚えていた自信が無い。



「ルナマリアだって、とても優秀な魔法使いだよ!」


瑞月(みづき)が、大きな声でモモとカザンに向かって叫んだ。


(お願い!止めてーー!!)

内心、ルナマリアは心の中で叫んだ。


「そうです、先生。ルナマリアは、とても優秀で素晴らしい魔法使いなんです」

「ルナマリアが学園に招待されないなんて、有り得ない!」


(有り得ます!有り得ますから止めてーー!!)

自分を思って言ってくれてるのは伝わるが、全く望んでいない展開過ぎて、何故かビクビクしてしまう。



モモとカザンは、そんなルナマリアに対する訴えを聞くと、顔を見合わせた後、ルナマリアに視線を向けた。


「そんなの知ってるわよー」

「うむ!ルナマリア君は素晴らしい魔法使いだ!」

(お願い止めてーー!)

褒められているのに、嬉しくない。


「それならどうして、ルナマリアは学園に招待されていないんだ?!」

「招待ならしてるわよー」



「「「「「「へ?」」」」」」



ルナマリアを含めた、全員が、惚けた声を出した。


「ルナ…」

「え?いや、違う違う!私本当に知らないから!」

冷たい目を向けてくるジュリアスに、慌てて否定する。

「ルナマリアちゃん、もしかして手紙見てないのー?」

「手紙?」



・・・・・・・・・・・・・



大きな沈黙の後、ルナマリアは、魔法で仕舞ってある鞄を取り出すと、ガバッと中身を全て出した。

大量の紙やペン、古い本、図鑑、辞書、水晶玉ーー様々な物が無造作に転がり落ちる。


「やぁだルナマリアちゃん、ちゃんと整理整頓しないと駄目よぉ」

お世辞にも綺麗と言えない鞄の中身を見ながら、モモはケタケタと笑った。


ガサゴソと鞄の中を漁り続けると、2枚の手紙が現れた。

その中の1枚、リアリテ学園の文字が記載された、手紙。

その中の1枚は、宛先不明。


「それ!リアリテ学園からだ!」

手紙を指差しながら、瑞月(みづき)は喜びの声を上げる。


「それが招待状よん。3年前、ルナマリアちゃんと別れてすぐ後には、ルナマリアちゃんの事を調べて、問題無しと判断して出したわよー」






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