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ジュリアスは顔を真っ赤にしたまま、怒りを口にした。


「そして、ルナマリア。君はここいる誰もが認める大魔法使いだ」

「!」

急にフランに話題を振られ、視線が集まる。


「ええ。私は、ルナマリアに大切な人を守って頂きました」

「僕も、大切な友達と、僕自身を!」

「……世話には、なった」

次々と口を揃え、ルナマリアに感謝を伝える。



「明日から、共に学園で高みを目指し、頑張って行こう!」


真面目で熱い男に成長したフランは、共に同じ、リアリテ学園のクラスメイトだと理解し、励みの言葉を口にした。

一同、頷く瑞月(みづき)、レン、ジュリアス。


ただその隣、1人、ルナマリアだけは首を横に傾げた。



「私は学園には入学しないよ?」



ルナマリアは、ヒロインと攻略対象の様子を見に来ただけで、入学する気は無い。

そもそも、優秀な人達しか入学出来ない学園に、自分が入学する事を、ルナマリアは考えていない。



「「「「…………はぁーー?!?!」」」」



これに、攻略対象者一同は一斉に驚愕の声を上げた。



「何で?!やだよ!ルナマリアも一緒が良い!」

「この学園は、冒険者にとっても名誉な事ですよ?」

「何故学園に通わないと言い出すんだ?!何か他に変え難い事情でもあるのか?!」

「……おい、何が気に食わないんだ?!」



四者四様でルナマリアに勢い良く詰め寄る。


「え?え?いや、そもそも、入学の許可なんて貰って無いし」


これは本当。

入学の許可を貰っているものと仮定して詰め寄って来られるが、貰っていないものは貰っていない。


(第一、たまにならまだしも、今更学校生活なんて、面倒臭くて絶対に嫌だし、攻略対象(君達)に巻き込まれるのも、出来ればヒロインに任せてご遠慮したい……)

これは本音。


「入学の誘いが来ていないのか?!何故だ?!」

「何故と言われても…私、別に何もしてきてないし…」

フランの問いに、ルナマリアは困惑の表情を浮かべた。


学園に入れる程の凄い行いをしてきたつもりが無いので、ルナマリア的には、入学の誘いが来なくても、別に普通の事で、そんなに驚かれる事に困惑している。


「何を言うんですか!ルナマリアは、私の街で、人型の魔物を倒したじゃないですか!人型の魔物は危険度MAXです!倒しただけで勲章ものですよ!」


レンの街で、人型の魔物を退治したルナマリアの凄さを、レンは話した。


「そうなんだ。あ、でも確か、嘘の情報もあったよね?」


8年間旅を続けた中で、人型の魔物と遭遇したのはあの時だけで、中々出会うものでは無い。

その希少性とミスティアお嬢様の仕掛けた嘘の情報が混ざり、人型の魔物の出現自体が、嘘だったと他の街には伝わったのかもしれない。


「ルナマリアは神獣をその身に宿してるでしょ!?それって凄い事なんだよ!」

今度は瑞月(みづき)が、ルナマリアの凄さを力説する。


ルナマリアに仕える神獣ファイティン。

確かに。それはとても凄い事だと自分でも思うが、そもそもあまりファイティンに頼って旅をしていない。


「皆、知らないんじゃない?」

人前でファイティンを呼び出したのは他国との交流を嫌う和の国が最初で最後。

知らなければ、学園への招待も何も無い。


「……一角兎の髭は、ルナの協力があってだ……!」

ジュリアスは、自分が盗賊(シーフ)になったきっかけを、真剣な表情で話した。


「ありがとう。でも、そこから学園へ入学出来るまでになったのは、それからのジュリアスの頑張りだよ」

ルナマリアはきっかけを作ったに過ぎない。



「ルナマリアは……俺の村を、皆を、助けてくれたーーー命の恩人だ」

最初に出会った攻略対象、フランの村を襲った魔物を、ルナマリアは退治した。


「あれはそもそも、私が退治したって皆信じてくれなかったしね」


あの時はまだ8歳。

幼い女の子が1人で魔物を退治し、挙句、森の1部を吹っ飛ばしたなんて、信じられなくても無理は無い。




「ね?私特に何もして無いでしょ?」

「「「「ーー」」」」


ルナマリアの言い分にそれぞれ言いたい事はあるが、とりあえず、全員が絶句する。


「まさか…」

考えもしなかった自体。


「ルナマリアの偉業は、全部、首都までは届いていない…?」

レンの推測に、3人は頭をかかえた。



「おーい、大丈夫?」

目に見えて落ち込んでいる男4人と対照的に、ルナマリアは平然と声をかける。


(何だろ……何をそんなに落ち込んでるんだろ)


これから学園生活が始まれば、ヒロインと出会い、恋に落ち、魔王を倒すのだ。


恋に落ち、ヒロインに選ばれれば、その攻略対象は幸せになる。

←プレイヤーからすれば、ヒロインは幸せでは無いが。


誰が選ばれるかは分からないが、ルナマリアは、全員を応援している。

現実としてこの世界に生まれ変わる前は、彼等は恐怖の対象でしか無かったが、今は、彼等と触れ合い、過ごし、情がある。


(出来れば、皆、幸せになって欲しい…)


久しぶりに再会し、実感する。

彼等はもうルナマリアにとって、ただのゲームのキャラクターでは無く、自分にとって大切な、友人なのだとーー。



ーーーだが、葛藤もある。

幸せを願うなら、学園での彼等を見守るべきでは無いのか?

そう。

それはそうだが、答えはNO!

何故ならルナマリアは女神様のお使い?の途中だし、何より!のんびりゆっくり過ごしたい!!

旅もしんどいけど、学校生活を見守るのはきっと窮屈で、今よりのんびり出来ない!


(それに、私が見守ってても、きっと何の力にもなれないだろうし)


最終的には、自分の力を過小評価しているルナマリアらしい結論に行き着く。


(第一、部外者が勝手に忍び込むのも良く無いしね)

学生や関係者以外の立ち入りは基本禁止。



ルナマリアは、落ち込む4人の頭を1人ずつ撫でると、笑顔を彼等に向けた。


「皆、約束を守って、立派に成長してくれて、ありがとう」




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