54 再会編
ガヤガヤ。
人が多く行き交う街。
街には大きな守護の魔法が展開されていて、外から魔物が入れないようになっている。
カツ。
靴の足音は、街の騒音で聞こえない。
首都ーーーアールレン。
ゲーム《リアリテに舞い降りた聖女》の中心舞台となる、リアリテ学園がある街。
その中心部、大きな噴水がある場所で、16歳になったルナマリアは立ち止まった。
「綺麗…」
噴水を見上げながら、ルナマリアは素直な感想を呟いた。
背も伸びたし、顔も大人びた。
胸は、思っていた程成長しなかったが、そこは諦めた。
(ここってゲームで、攻略対象者がヒロインに愛の告白をする場所なんだよね)
どちらかと言うと攻略対象がクズ最低イケメン男達過ぎて、RPG要素の強いストーリーメインでプレイしていたので、そこに感動も何も生まれなかったんだけど……。
(でも懐かしい。ここアールレンは、1番ゲームで過ごしてたとこだもんね)
メインステージの学園がある場所。
(学園はきっと、もっと懐かしい)
ゲーム開始まで、後1日ーー。
ルナマリアは、当初の目的通り、攻略対象やヒロインの様子を見る為に、ここ、アールレンにやって来た。
女神様の所を8歳の時に追い出されて早8年。
のんびりゆっくりと旅を続け、出会う先々でお世話になった妖精や精霊と会い、話を聞いたり、困っている事があれば助けて、魔物を退治したり、治療をしたり、まだ全てを回れていないが、一生懸命頑張っている。
「早くだらだらしたいなぁ」
ルナマリアの最終目標はだらだら過ごすぐーたら生活である。
その為に、ヒロインと攻略対象者には、何としても魔王を倒して貰わないといけない!!
何故なら魔王を倒さないとこの世界が滅びてしまうから!
(皆、昔は可愛かったのに、今はもう、最低クズ男になってるんだろうな……)
沢山のトラウマを植え付けてくれた攻略対象者達。
「うん。出来るだけ見つからないように過ごそう!」
(私の事なんてもう覚えてないかもしれないけど、念の為にね!)
もしかしたら変な因縁をつけられるかもしれない!←全く信用していない。
ルナマリアはそう心に決めた。
(とりあえず、先にギルドの様子見とこうかな)
宿などは最悪、野宿で事足りるが、何かと必要な生活物資を揃える為のお金をギルドの依頼で稼いでるルナマリアとしては、何よりギルドでの依頼確認が必須。
ルナマリアは噴水を後に、ギルドへ向かった。
普段のギルドとは違い、流石首都のギルド。
外観だけでも、普段の使っているギルドとは違い、とても立派で、大きい。
「えっと、入口はーーここか」
人の出入りが多くある場所を見付けると、ルナマリアはそこに向かった。
(なんか緊張するな)
普段、都会にいないので、何故かドキドキしてしまう。
扉を開けようと手を伸ばそうとしたが、その前に、ギィッ。と扉が
内側から開いた。
「ーーおっと、失礼」
頭上から聞こえる声。
内側から扉を開けて出て来た人物は、そのまま、扉を開けて、ルナマリアが入れるように待ってくれた。
薄紫色の綺麗な髪に、澄んだ青い瞳は、とても綺麗で、端麗な顔立ちをしている。
(めっちゃイケメン)
純粋な感想を心の中で述べる。
背には大きな剣を背負っているから、彼はきっと剣士なのだろう。
「ありがとう」
ルナマリアはお礼を言い、そのまま、ギルドに入ろうと、1歩足を踏み入れた。
「ーーールナマリア?」
声をかけられて、振り向く。
「?何で私の名前ーー」
改めて、ルナマリアは彼の顔を見た。
薄紫色の髪、青い瞳、端麗な顔立ち、剣士ーーーどこかで見覚えのある、顔ーーー
「俺だよ、フラン!」
(やっぱりかーーーー!!!!!)
出来るだけ攻略対象に会わないようにしようと心に決めたのはほんの数分前のことなのに、回収が早すぎる!!
「ルナマリア……ずっと君に会いたかったんだ」
ゾッ。
鳥肌が立つ。
「き、斬り付けないで…!」
ガタガタと震えながら、怯える目でフランを見るルナマリア。
「いや何で?!絶対斬らないよ!」
ゲームでのフランは、フラン以外のルートを選んだ場合、ヒロインの事をキラキラ(明るくて優しい)してるから目障りと、陰湿な虐めから直接的な攻撃まで、様々な嫌がらせを行ってくる。
「そう言えばルナマリアって、昔から変な事言うとこあったな……今、思い出したよ」
はぁー。と深いため息を吐きながら、前髪をかきあげるフランの仕草は、とても絵になる。
(顔面偏差値で言うなら本当に高得点なのに、どうしてこんなに勿体無いの!)
動作1つで美スチルになるのに、本当に勿体無い。
「ごめん。大分落ち着いた」
突然の再開に取り乱してしまったが、まだ許容範囲内。
うん、大丈夫。
考えてみれば、久々の再開にも関わらず、斬り付けないで。は、失礼だったかもしれない。
「ごめんね。ちょっとした思い違いがあって」
「一体、何の思い違いがあったんだ…?」
フランはまだ納得していないようだったが、ルナマリアとしては、たまに口から零れる事はあるものの、ゲームの事を詳しく話す気は無いので、これ以上説明は出来ない。
(それしてもーー)
ルナマリアはジーと、フランを見つめた。
(フランのキャラデザってこんなんだっけ?)
確かに、顔立ちは同じだが、髪型はもっと長くて、ジメッとした感じだったし、服装も、こんな騎士っぽい感じじゃなくて、厨二病を患った暗黒って感じだった。
だから、再開した時フランだと気付かなかった。
「キャラデザがこんなに異なる事なんてあるんだな」
ゲームに転生する事なんてまず無い。
初めての体験なので、キャラデザが実際と会うと印象が違うのだな。と、多少強引にルナマリアは納得した。
「出会った時もキャラデザ?とかなんとか言ってたが、それは一体何なんだ?」




