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空に浮遊しながら、ルナマリアは、平然とした表情で、そのまま、次の魔法を口にした。
「攻撃魔法」
白い光が、まっすぐタコの魔物を撃ち抜くと、タコの魔物はグラッと体を揺らせながら、消えた。
「嘘でしょん…」
「凄い実力だな!」
モモとカザンは、ルナマリアの実力を目の当たりにし、ただただ、感服した。
後処理を海の上の楽園の関係者に任せ、一段落着くと、モモはルナマリアの方を向いた。
「ルナマリアちゃん…泡の魔法、1回見ただけで覚えたの?」
溺れたルナマリアを助ける為に、モモは1度、シャボン玉の魔法を使い、ルナマリアを助けた。
「はい」
ことも無さげに頷く。
「やっだ、天才ー」
「うむ!それに、魔法の威力も素晴らしいものだったぞ!」
引きづり込まれた観客全員に向けたシャボン玉の数も、一撃で魔物を撃破する攻撃魔法の威力。
全てが賞賛に値した。
「2人も、凄かったよ」
前衛で攻撃してくれる人がいるから、安心して魔法を撃てたし、新しい魔法を見せてくれたから、観客を救う事が出来た。
「ふふ。でも良かったわねぇルナマリアちゃん。これで、船の運行は再開するわよ」
「え?」
「モモ達は、ここら辺で困ったちゃんしてた魔物を退治して欲しいって依頼されて、この街に来てたのよぉ」
中々現れずに待ちぼうけしていた所、街のお偉いさん達に頼み込まれ、大会に出る事にした。
「(ウルミが言ってた海の魔物の事かな?)良かった。じゃあこれで、少しは平和になる?」
「勿論♡ルナマリアちゃんのお陰で被害は最小限に抑えられたし、何より、人に危害が無かった事が1番よねー」
モモとカザンの実力なら、タコの魔物は問題無く倒せていただろうが、捕らえられた観客達を救う事は出来なかったし、何より、もう少し時間がかかった。
人は勿論。
街全体の被害を抑える事が出来た。
それに、困った魔物がいなくなれば、船の運行も再開する。
「良かった…これでウルミに怒られなくてすむ」
小さなボートで1人無謀な海旅に出たのを諌められ事を思い出し、ルナマリアはほっと息を吐き出した。
「モモ達は依頼が終わったから、街の出してくれる船ですぐ陸に戻るけど、ルナマリアちゃんはどーするん?あれなら、一緒に乗れる様に手配してもいーわよん?」
「いえ。いいです。再開の目処がたったなら、のんびり旅を続けます」
モモの申し出を、ルナマリアは断った。
のんびりしたいのも本音だが、モモやカザンに出会ってから、面倒臭い事に大変巻き込まれている気がするので、離れる方をルナマリアは選択した。
「あらそーぉ?残念ねぇ」
「うむ!ではまた会おう!!」
そう言って、ルナマリアの前から立ち去る2人に、ルナマリアは小さくお辞儀をした。
「……また会おう?」
頭を上げ、カザンとモモを見つめる。
「……会う事……あるのかな?」
この広い世界、偶然にでも、また出会える事は可能なのだろうか?
カザンの、ハッキリと断言した再会の言葉に違和感を覚えつつ、ルナマリアは何も気にしない事にした。
「まぁ、いつか、会えるかもしれないよね」
同じ冒険者。
旅を続けていれば、どこかで偶然、出会うこともある。
そう解釈し、ルナマリアも、宿に向かって歩き出した。
「ねぇ、あの子、勿論合格よねん?」
モモは笑みを浮かべながら、隣にいたカザンに尋ねた。
「ああ!申し分無いだろう!」
船着場に到着し、そのまま船に乗り込むと、2人を待っていた船員が急いで駆け寄る。
「お待ちしておりました!いやぁ、お疲れ様です!助かりましたぁ!」
タコの魔物を退治してくれた2人を労う船員。
「あら。モモ達だけの力じゃなくてよ?」
「へ?」
居合わせた13歳の女の子が解決したとは思わない船員は、モモの言葉にぽかんとした顔を浮かべたが、すぐにまた、ペコペコと頭を下げ始めた。
「いやぁ!本当に光栄です!まさかあの有名なーーー
リアリテ学園の教師の方に出会えるなんて!!!」
モモもカザンも、他の船員から手渡された上着を、バサッと羽織った。
ピンクの派手なセクシーな上着に、ライオンの柄がデカデカと描かれた上着。その2つに記された《リアリテ》の文字。
「んふふ。ルナマリアちゃん、また学園で会えるのを楽しみにしてるわー」
「ああ!楽しみだ!」
そこ頃ーー
「あー。しばらくゆっくりしよー」
学園の教師だと何も知らないルナマリアは、海の妖精ウルミと浜辺でまったりと過ごしていた。
3年後ーーー
ルナマリア、16歳ーーー。
リアリテ学園、入学式ーーーゲーム開始まで、後1日!!!




