表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/103

49






そう言って、おばさんは部屋を出た。


「……」

窓の方まで行き、外を覗くと、海の匂いがした。


(疲れた……先の事は、後で考えよう……)


体力の無いルナマリアには、海の上で何もしておらず、揺られていただけとはいえ、限界。




レンの元を去り3年。


あれから人型の魔物に遭遇する事は無く、妖精や精霊達の困り事やお願いを聞きながら、いつもの様に旅を続ける日々が続いた。


13歳になり、また少し身長も伸びた。

残念ながら、胸の膨らみはまだ見えないが、いつか成長するはず。


「もう13歳か…」

前世25歳までは、まだかかるが、段々と近付いている。

足せば38歳。

良い大人なのだが、その自覚はあまり無い。


(ゲーム開始まで、後3年)


攻略対象達の年齢から推測するに、ルナマリアが16歳の時に、ヒロイン、攻略対象者が学園に入学する。

その際には、ヒロインや攻略対象の様子を見に、1度学園を覗くつもりではいる。


(何故なら、ちゃんと魔王を倒してくれないと、この世界(リアリテ)が滅びちゃうから)

困ったバットエンドである。


(でも、ちゃんと皆、学園に入学出来るだけのスペックはあるし。きっと問題無く入学出来る)

後はヒロインが誰を選び、困難を乗り越え、魔王を倒すか。


「…そう言えば、魔王ルートってどんなんなんだろ…」


隠し攻略キャラである魔王。

最初からクソゲー過ぎて、全くやる気の起きなかったゲームなのに、最後に、攻略対象で全く戦闘で役に立たないレンによってトドメを刺され、ルナマリアは隠しキャラの攻略を放棄した。

なので、魔王ルートだけ未プレイ。

どうせ転生するのなら、きちんとプレイしておけば良かったと、後悔するーー


(ーーいや、無理だな。余命短い私が次のゲームをプレイすることを望むのは当然)

ーーが、すぐに持ち直した。


後悔は無い。

当然の選択だった。



グルルルルルーー。

お腹が鳴る音がする。


「お腹空いたな」

遭難のせいで、お昼を食べ損ねていたことに気付いた。

(どこか食べる場所探そ)

ルナマリアは窓を閉めると、そのまま部屋から出た。




ルナマリアが外に出ると、空はもう真っ暗。

(お店空いてるかな…)

街にもよるが、定食屋などのお店は早くに店じまいをする事が、この世界では多い。

開いているのは、夜は酒場とかになる。


「酒場に行く方が早いか」

この世界では、酒場に未成年の出入りが禁止等の法律は無く、お酒を飲んでも構わない。


ルナマリアは酒場の扉を開けた。

リゾート地なので、酒場も何か違うものなのかもしれない。と、少し身構えていたが、中に入ればいつもの大衆的な酒場の雰囲気で、ホッとする。


未成年が入室しては良いとあるが、それでも、13歳の女の子が1人で行く場所では無く、視線は集まったが、ルナマリアはスルーし、カウンターに腰掛け、壁にかけてあるメニューを見た。


(流石は海辺……海産物のメニューが多い)


外食をする方では無いので、あまり価格設定は分からないが、普通の酒場よりも、リゾート地なだけあって、値段はお高めな印象。


「何食べよっかなー」




「ねーねー、お姉さん1人ぃ?」

「一緒に飲もーよ」


折角なので好きな物を選ぼうと、ワクワクしながらメニューを眺めていると、数席離れたカウンターから、何やら揉めている男女の声が聞こえた。


「えーごめんなさいねぇ。後で連れが来る予定なのよん」

「いーじゃんいーじゃん。お姉さん放ったらかしにしてるような男なんて捨ててさ、俺等と遊ぼーよ」


ナンパ男にしつこく声を掛けられているようで、断っているにも関わらず、隣に座り、お姉さんの腰に手をまわしている。


「絶対満足させるからさぁ」


声をかけられているお姉さんは、とてもグラマラスな、眼鏡をかけた知的美人といった感じで、服装はあらわな素足を出したミニスカートに、大きな胸を強調したタイトなシャツ。

男性からはとても魅力的に感じるだろう。


「なぁ、いーだろ?」

「ふふ。困っちゃうなぁ」



「ーーー嫌がってるんだから、止めてあげなよ」


ちょこんと、お姉さんとナンパ男の側まで来ていたルナマリアは、怪訝そうな表情で、ナンパ男達に注意した。


「あらーー」

そんなルナマリアに、お姉さんは驚いた表情を浮かべた。



「なんだぁお前」

「子供がいちいち大人の会話に口出しするんじゃねーよ……って、良くみたらお嬢ちゃんも可愛い顔してんな」

酔っ払っているのか、ナンパ男達は酒臭く、ルナマリアは顔をしかめた。

「お嬢ちゃんも一緒に飲もーぜ」

ナンパ男の1人がルナマリアの傍まで近寄り、肩に手を回そうとする。


「お断りします」


即答でお断りし、馴れ馴れしく、肩に手を置いて来ようとするナンパ男の手から、ルナマリアは体をよじって避けた。


「えー冷たいーなぁ。いーじゃん?奢るよ?」


ナンパ男達は20代くらいか?

20代が13歳の女の子に声をかけるのは良いのか?

何にせよ、嫌がっているのだから、無理強いするのは良くない。


「執拗い男は嫌われるよ?」

「えーいーじゃん。俺、結構イケてるよー?」

前髪をかきあげながら、流し目を送られる。


「イケてる…?どこが?どこら辺が?」

戸惑うルナマリア。


「えー!俺等いけてんじゃん!男前、でしょ?」

「大丈夫ですか?もしかして目に異常でもある?本気で言っているのなら、眼科への受診をお勧めします」

「「ーへ?」」


真剣な表情で、心配するように声をかけるルナマリアに、ナンパ男達は一瞬、ポカンとした表情を浮かべ、間抜けな声を出した。


「全然格好良く無いし、そもそも、嫌がってる女性を無理に誘おうとしたり、ボディタッチしたり、ほんと勘弁ですし、全くイケてません。勘違いも甚だしいです」


何より、攻略対象でイケメンを見てきたルナマリアには、生半可なイケメンでは認められない。

「自分で男前って豪語する程のレベルでは無いしーー」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ