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何なら、借金で雇われた住民の証言も有るし、何より、本当に人型の魔物が出て来てしまった今、魔物に襲われた方が、信憑性が高くなってしまっている。


「…あの人達、馬鹿だから、絶対ボロを出す気もするけど…」

何せ自分から犯行を自白したのだ。


「それも、脅されて言わされたんだ。と言われれば、元も子も有りません。何より、ルナマリアに乱暴な事をさせたくありません」


洋館を吹っ飛ばして目前に引っ張りだしたりしたら、確かに、脅されたと言われても否定しにくい。



「やっぱ証拠は大切か……。セクハラやパワハラの時も、証拠集めるの大変だったもんね」


前世、25歳OL時代、ルナマリアは上司を相手に、セクハラとパワハラで訴え、勝訴した経歴を持っている。


「セクハラ?パワハラ?」

前世特有の単語なので、レンには言葉の意味は分からない。


「なら、私、もう少しこの町にいようか?」


ルナマリアの役目は、犯人を見つけ出す事と、レンに錬金術を習得させる事。

その2点はもうCLEARしたが、肝心の犯人は野放しのまま。

ルナマリアの実力を痛感した今、ルナマリアがいる間は大人しくしているだろうが、いなくなれば、また、何をするか分かったものでは無い。


「……いえ。これ以上、ルナマリアの貴重なお時間を頂く訳にはいきません」

だが、レンはルナマリアの申し出を丁寧に断った。


「いーの?」

「はい」


ルナマリア的には、いつまでも留まる事は出来ない。と、自分で目的を定めたが、特に絶対!という訳では無い。

何なら、衣食住は揃っているし、女神様の神聖な場所程では無いが、ぐーたらしている。

とても快適で、もっと居たいのが本音。



「大丈夫なんだね?」

ルナマリアは、真剣な表情で、レンに確認を取った。

「はい」

「……うん。分かった」

嘘偽り無い返事を、ルナマリアはきちんと受け取った。


「レンなら、とても立派な錬金術師になれるよ」


「はい。約束します」

レンは、ルナマリアをしっかり見つめながら、誓いを口した。







***



1週間後ーー。



「お嬢様ぁーー!やっとあの魔法使い!いなくなりましたぜ!」



バタバタと走ってきて、朗報!と、ミスティアお嬢様に伝えるチンピラ。


「まぁ!意外と早かったですわね!」

ガタンっ!と、ミスティアお嬢様は座っていた椅子から立ち上がり、歓喜の表情を浮かべた。


「はい!どーやら4日前には居なくなってたらしいんすけど、こっちまで中々情報が入って来なくて」


実はルナマリアは次の日には旅立っていたのだが、あれから今日まで、ずっと屋敷の中で引き篭る生活を送っていたようで、外の様子を知り得る事が出来なかった。



「まぁ。下僕達は何をしているのかしら」

下僕=借金で言いなりにしている者達。


「まぁ良いですわ。これで、誰がこの町で偉いかを、改めて知らしめてあげる事が出来ます」

「督促状も、やばいっすからねー」


ゴミ箱には、以前よりも多い督促状の山。


「ふん。すぐに回収すれば良いだけのことよ」


引きこもっている間も、行者を屋敷に招き入れ、散財を繰り返していたようで、更に借金は膨れ上がったが、ミスティアお嬢様は気にも止めていなかった。

全ては、すぐにお金を集めれると思っているから。


「ほーほっほほ!見ていなさい!私は優秀!選ばれし存在でしてよ?!それをすぐ皆に知らしめてやりますわ!」


ルナマリアさえいなくなれば、以前と変わらない、彼女の望む生活にもどれると、信じていたからーーー。




「ーーはい。魔物のせいと画策して、レン君の母親に怪我を負わせた罪で、投獄ね」

「ーーーは?ーーー」


意気揚々と、1週間ぶりにお付のチンピラ2人を引き連れ、町の中心地に足を踏み入れるやいなや、ギルドの職員に道を塞がられ、腕に縄を掛けられる。


「ーなっ!何ですの?!どこにそんな証拠がーー!」

チンピラ2人組も、即座にお縄につき、引き摺られるように連行されて行く。



「証人がいる。

ミスティアお嬢様に頼まれて、人型の魔物が母親を襲ったと証言しろと、借金をかたに脅迫されたとな」



「な!」

ミスティアお嬢様はキッ!と、下僕ーー偽の証言をさせた住民を睨み付けた。


「どうゆうつもりですの?!こんな事をして、ただで済むとー」

「もう沢山なんだよ!お嬢様の横暴に付き合うのは!」

「そうよ!レン君は……こんな私達にも、優しくて、薬をくれるのよ!!」

下僕として従っていた住民達は、大きな声で叫んだ。


「第一、貴女の回復魔法では、中途半端に痛みを残したままで、ずっと苦しんでいたけど……レン君が作ってくれた薬は、痛みを消してくれたのよ」

「それも、嘘の証言した俺達に、借金塗れで、金も払えねぇ俺達に、無償で薬をくれたんだ…!」

「僕は、魔物が襲って来た時、助けに来てくれた!」

次から次へと、レンへの感謝の気持ちを口にする。



「なっ、薬…?!何よそれ、薬で怪我がそんな簡単に治るはず無いじゃない」

「ミスティアお嬢様知らないんですか?まぁ、引き篭っておられたみたいだから、知らないのも無理無いでしょうけど、レン君は錬金術師になったんです」

「錬金術師?」

ギルド職員から出た、聞いた事も無い職業に、ミスティアお嬢様はオウム返しで聞き返した。



「レン君は才能が有り、天才です。

材料から新しい物を作り出す天才的な職業……レン君は、この世界で初めての錬金術師になったんですよ」


「ーーー」

絶句する。


才能も天才も、自分か欲してやまないもの。

それを、レンが横からかっさらった。

「嘘よそんな…私は、私だけが、この町で唯一の、僧侶でー」


傷を治す薬が出来た今、絶対無二の価値は無い。


「私は……選ばれた、優秀な……」


もう知っている。

自分の僧侶としての実力が、とてつも無く底辺な事。













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