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町のチンピラ2人が束になってかかろうとも、下手したら何人束になってかかろうとも、ルナマリアには敵わない。


「…ですね」

レンは素直に頷くと、ルナマリアの前に立つのを止めた。

彼女を庇おうとする行為こそが、彼女の邪魔になると理解している。


「ああ?!俺達まで舐めてんか?!」

小さな女の子が、武器を持った男2人相手に対して浮かべる余裕の態度に、チンピラ2人は短剣、1人は剣を取り出した。


「いーの?騒ぎを起こして後悔しない?」


ここはレンの家の庭だ。

少し町から離れているとはいえ、騒ぎになれば、町の住民達に嫌でも見付かる。


「は!また魔物の仕業にでもしてやるよ!」

「馬鹿なの?自分から自供してどーするの?」

本当にアホなんだな。と、ルナマリアは思った。


「ーあっ」

「この馬鹿っ!」

口を滑らした1人の頭を、もう1人がスパンと叩いた。


魔物の仕業。

それは、母親の事件が、自分達の仕業だと自供したものだ。


「ミスティアお嬢様が…!」

話を聞いていたレンも、キッと、ミスティアお嬢様を睨み付けた。


「な!ち、違いますわ!こいつ等が勝手にーー!」

「そんなぁ!お嬢様だって乗り気だったじゃねーっすかー」

ギャーギャーと身内で言い合いを始めるのを、ルナマリアは呆れた目で見つめた。


(もう相手するのが面倒臭くなってきちゃったな……)


犯人は分かった。

証拠は無く自供のみだが、ミスティアお嬢様の館を調べれば分かるだろうし、何より、頭が良くないようなので、ほっといたら自供していくだろう。


このまま、魔法で捕らえて、ギルドにでも開け渡そう。

そう思い、ルナマリアは魔法で杖を出そうとしたーーー所で、別の気配に気付き、視線を、町の方に向けた。



「ーー魔物だ」


「え?」

ルナマリアは、魔法で杖を出すと、バッと、町の方に向かい走り出した。


「ルナマリア?!」

「あ!おいコラ逃げんな!」

後を追うレンに、逃げたと解釈した2人を追うチンピラ。


「あの子……魔法使いなの……?!」

ただ1人、残されたミスティアお嬢様は、魔法で杖を出したルナマリアを見て、その場に暫く、立ち竦んだ。






タッタッタッ。


もうすぐで町に着く。

その前に、ルナマリアは杖を走りながら、かざした。


中範囲攻撃魔法(ゲートオープン)


白い雷が、前方に向かい走ると、町に蔓延る魔物を、殲滅していく。


「はぁ、はぁ」

ルナマリアは体力が無い。


乱れる呼吸を整えながら、周りを見渡す。

住民の何人かは、既に魔物に襲われていて、傷付いている。


(おかしい……魔物の襲撃に、気付かなかった)


普段なら、もっと早くに、魔物を探知出来る。

それこそ、フランの村の時のように、被害が出る前に。




「ーー貴方が原因かな?」

考えるルナマリアの前に現れるのはーーー黒い角を生やした、人型の男の魔物。



『驚いた。たかが人間ごときが、私の存在を探知出来るなんてな』


人の言葉を話せ、意思疎通出来る。

その体からは、普段出会う魔物よりも、遥かに強い魔力を感じる。


「…人型の魔物……初めて会いました」


成程。

今まで戦ってきたどの魔物よりも強いと分かる。


「貴方が、沢山の魔物を引き連れて町を襲ったんだ」

先程雷の魔法で幾分か始末したが、まだ何匹かは残っていて、ルナマリアの周りを囲む。


『私は気配を消す事に長けている。愚かな人間共は、襲われるまで、私達が近くに来た事すら気付かない』

(だから私の探知にも引っ掛からなかった)


「何でこの町を襲ったの?」

『愚問だな。人間が気に食わない、人間を食う、人間の数を減らすーーただそれだけだ』

多くの魔物は、こう言った思考を持ち合わす。


ルナマリアは目を閉じ、開けると、杖を人型の魔物に構えた。


「なら始末するしかないね」

『同感だ』

『グルルゥゥウウウ!!!』


周りに蔓延っていた狼や猪の魔物達が、一斉にルナマリアに襲いかかる。




「ーー使用します」

声とともに、丸い瓶が、魔物達のいる地面に投げ込まれると、割れた瓶から煙が充満し、魔物達の動きを止め、その場に倒れ込ませた。



「おー凄ーい。大成功だねレン」

パチパチと拍手を送るルナマリア。


そこには、茂みに隠れていたレンの姿が見えた。


「心臓に悪いです、ルナマリア…」

「何で?」


ルナマリアの走る足は遅い。

意図も簡単に追い付いたレンは、先に傷付いた住民を救助に行き、機会があれば援護してと言われていたらしい。


『馬鹿な…そんな奴の気配など、何もーー』

「気配を消せるのは貴方だけの特権じゃないしね」

私も出来るんだよ。と、ルナマリアは魔法で、同じく姿を消していたチンピラ2人の姿を現せた。


「ま、魔物!」

「本物の人型だー!!」

恐怖で怯えおののいている2人は、互いを抱き締めあいながら、涙目で身体を震わせていた。


『馬鹿な…たかが人間ごときが…!』



「ごめんね?貴方はとても強いみたいだし、危険な魔物は放置出来ないーーー攻撃魔法(ゲートオープン)


攻撃魔法を使ってこようとする魔物に向かい、ルナマリアの方が早く呪文を唱え、攻撃を放った。

散り散りになって消える魔物。



「凄い…」

人型の魔物は強い。

だが、ルナマリアは一瞬でかたをつけた。

そんなルナマリアを、レンはただただ、羨望の眼差しで見つめた。


(強かったな……私の探知の魔法が効かなかったのなんて、初めて)

ただ、当の本人は納得しておらず、自己の魔法が効かなかった事を、悔しがったーーー


「レン、良かったねー。錬金術で作った爆弾だよね?」

ーーーが、持ち直した。


「え?あ、はい。上手くいって良かったです」

先程レンが投げたのは、ルナマリアが痺れて倒れた時に食べた果実を使って錬金術で作成した、レンお手製の痺れ爆弾。


「うんうん。良かった良かった」

こうやって武器も作れるようになれば、攻撃に参加する事も出来、ヒロインを、1人で魔王を倒さなくてはならない苦行から救う事が出来るだろう。


(グッジョブ、私!)

ルナマリアは誰も褒めてくれないので、自分で自分を褒めた。






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