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高々と話すミスティアお嬢様。

「おっしゃる通りですよー!お嬢様」

そんなお嬢様に、ゴマをするようにヘコヘコするお付の2人。

「それなら、少しは何か良い案を出したらどうなの?!本当に役立たずね!」

ギャーギャーと怒鳴り散らす。

「お嬢様、俺に良い考えがありやす」

1人が、手を上げた。

「何よ?!」


「母親がーーー怪我をすれば良いんじゃないかなっと」


「……ふふ」

お付の提案に、先程までは違い、笑みを浮かべる。

「素敵な考えね。確かに、病気では無く、怪我ならーーレンは私を頼らざる得ないわ」

ミスティアお嬢様は、テーブルに置いていた本を、手に取った。

ポウっと青く光る本。


本を使い、魔力を操る職業ーーー僧侶。


「ふふ。レンが頭を下げて、ミスティア家の養子になりたいと言い出すのが、楽しみね」

不敵に、ミスティアお嬢様は微笑んだ。







***




町の外れ、普段、レンが薬草の採取に出掛ける場所。


「ーーー形成します」


レンの言葉と共に、用意しておいた薬草2つが組み合うと、薄緑の光を放ちながら物体が変化する。

やがて光が収まり、現れたのは液体の入った小瓶。


「鑑定」


レンの目に、魔法で形成されたゴーグルの様な物が現れると、小瓶の鑑定結果が、ゴーグルに羅列されていく。


「どー?」

その後ろ、レンの様子を見ていたルナマリアが、ひょいっと顔を覗かせた。

「駄目ですね。思っている物にはなりません」


「……鑑定魔法(ゲートオープン)


ルナマリアも、鑑定の魔法を使い、小瓶の効果を確認する。

ルナマリアの目に映し出されたのは、化粧水の文字。

「おー。凄いじゃん」

「女性に良い物みたいなので、どうぞ」

レンはそのまま、小瓶をルナマリアに差し出した。


「本当は何が作れるはずだったの?」

受け取った小瓶を振りながら尋ねる。

「傷薬です」

「……本当に頭良いんだね、レン」



天才的な伸び率で、レンは着々と腕を上げていた。

錬金術は勿論、他に必要となる鑑定のスキルも手に入れ(魔力が弱いので、ルナマリアの様に隠して使用する事は不可能な形式になってる)、更には、組み合わせで何が出来るかを予測し、それに合わせて組み合わせて行く事までしようとしている。


「本当に作れるかは、まだ分からないですけどね」


錬金術は、基本、作ってみないと何が出来上がるか分からない物である。

失敗して成功して、そうやってレシピを増やしていくのが普通。

なのに、レンは材料を組み立てて、正解を読み取ろうとする。


「作れるよ。だって正解だもの」

ルナマリアは以前、妖精達が今使ってる薬草で、傷薬を作っているのを見た事がある。

(…末恐ろしい才能ですこと)


攻略対象は揃いも揃って、スペックが桁違いに設定されているらしい。

なのに何故ゲームではあんなに約立たずに設定したのかが謎。


最低なクズ軍団(フラン、ジュリアス、瑞月(みづき))は、性格は難ありだったが、戦闘には強かったし、役立った。


(これでヒロインが少しでも救われるなら、私も本望だよ)


レンにも、ヒロインに選ばれたら、魔王を倒して貰わなくてはならない。

錬金術は貴重どころか、人類初かもしれないみたいだし、錬金術士になれれば、問題無く学園に入学出来る。


「後少しだね。頑張って」

「はい。頑張りますね」

ルナマリアは宣言通り、鑑定の魔法については教えたが、錬金術については、あれ以降何も口を出していない。

出せない。

何故なら知らないから。

でも、ルナマリアが討伐の仕事をこなし、レンがそのお金で、仕事をせずに済むので、錬金術に費やす時間が増えた。


元より努力家の彼は、それでも、更に睡眠の時間をいつもより削り、勉学も励んでいる事を、ルナマリアは知っている。


「レン、そんなに無理しなくて良いんだよ?たまには休んだら?」


こちらが心配になるくらい、努力している。

ぐーたら生活をこよなく愛すルナマリアには、眩し過ぎる光景だ。


「いえ…」

ルナマリアの気遣いに、レンは首を振る。


「私は、ルナマリアの冒険の邪魔をしていますよね?私の性で、旅に戻れないーー。だからこそ、早く習得しなくては」


(真面目過ぎる…)


確かに、いつまでも留まる事は出来ないが、正直、ルナマリアはぐーたらしている。

屋根のある家で、ふかふかのベッドで、朝起きれば美味しい朝食が用意され、昼食、夕食も出て、お風呂も入れて、最高の生活をしている。

なんなら、本当はもっといたいくらいなのだから、全然割り切って楽しんでいる。


「全く気にしてないから、少し休む?」

「いえ、大丈夫です」

やんわりと断り、錬金術の特訓を続けるレンの背中を、ルナマリアははぁ。と息を吐きながら見つめた。




数時間後。

きっちり時間いっぱい使い特訓をし、レンとルナマリアは帰路についた。

「今日もありがとうございました、ルナマリア」

「私、何もしてないよー」

本当にただ見守っているだけ。

「傍にいて下さるだけで、充分ですよ」


(イケメンに笑顔で言われると、破壊力抜群な台詞だね)

「うわー。今の姿が本当の攻略対象の姿ならいーのにー」


「はい??」

どちらも口にするつもりの無かった心の声なのだが、破壊力に釣られ、片方だけ声に出てしまった。

「ルナマリアは、たまに違う世界観の話をされますよね」

流石。鋭い観察眼です。

「ちょっとトラウマがあって…」


注意 前世のゲームでのトラウマ。


「あ、そうなんですね……それは、すみません」

トラウマの単語に、聞いてはいけない事を聞いてしまったのかと、レンはすぐに謝罪した。






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