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シル編31






『了解した。では、肉を狩ってくる』

そう言うと、ファイティンは素早いスピードでその場から去った。

あっという間に狩りを終え戻ってくるだろう。

その間に、ルナマリアは休む為の守護魔法をかけたり、食事を作る為の鍋の準備を始める。


料理は全く得意では無いが、1人で旅をしていると、最低限は出来るようになる。

雑に切って、焼くか煮る。

その2択。


「ふわぁ。眠い…」

『戻ったぞ』

予想していた通りのお早いご帰宅。

丁寧に血抜きまでしてくれている。


「ありがとー。私、血抜きとか出来ないから凄い助かるー」

ファイティンがいなければ、旅の間、魚と山菜で、肉は食べれなかったと素直に思う。

パチパチと、起こしていた火で調理を始める。



「和の国を出て思ったけど、良い魔物?なんて、中々見かけないねー」

和の国では、国の中にも魔物がいて、人間と共存していた。

『殆どの魔物は、残虐な思考をしており、人を襲う』

「ねー」

実際、和の国を出てから現れる魔物は、悪意のあるものばかり。

和の国を除けば、一角兎しか出会った事が無い。

『だからこそ、人間は魔物を忌み嫌うがーーー我等からすれば、人間も似た様なものだ』

ここでも、ルナマリアは人間から対象外とされた。


「お肉焼けたよー。ファイティンも食べる?」

食事が出来た事が嬉しくて、ルナマリアは話半分で会話を終了し、ファイティンにも肉を差し出す。

『頂こう』

塩胡椒のみのシンプルな味付けのお肉と、雑にちぎった山菜添え。

「うんうん。久しぶりのお肉ー」

ルナマリアはご機嫌な様子で、ファイティンと食事をした。





「ふわぁ」

寝ぼけ眼で、目を擦る。


朝になり、ファイティンを戻し、旅の支度を始める。

昨晩はファイティンの毛並みに包まれて寝たので、大変暖く、寝心地が良かった。

「のんびり行こー」

テント等も全て魔法でしまい込み、その場から出発する。


「よいっっしょ。と」

少し険しい道のりを、不慣れな様子で歩く。

道中、食べれそうな山菜やキノコを発見すると、昼食の為に採取する。

その中に、大変美味しそうな果実を見つけ、ルナマリアは目を輝かせた。

「美味しそう」

ルナマリアはパクっとそのまま1口、かじりついた。





空は晴天。

雲ひとつ無い、気候も程よい、お散歩日和。


(良い天気だなぁ…)

そんな天気の良い日に、ルナマリアは空を上に、大の字になって寝転がっていた。


決して、ぐーたらしている訳では無い。


(参ったなぁ…)

食べた果実は、どうやら痺れてしまう毒が含まれていた様で、痺れが体中に渡り、身動きが取れずにいた。


普段なら、ルナマリアは食べれるか食べれないか、鑑定魔法を使用し、確認する。

なのに、今日は、思わずうっかりが発動した。


(即死効果の無いもので良かった)

それであったら、ルナマリアの旅はここで終了していた。

(面倒臭がった、ルナマリアが悪い)

自負している。

深く反省している。

女神様の所に居た時も、禁断の果実と呼ばれる美味しそうな林檎を食べ、1度酷い目にあった事がある。

勿論、後で女神様にはこってり怒られた。


(ファイティンを呼べば助けてくれると思うけど……)

こんな事で迷惑をかけるのも忍びない。

もう一度言うが、ファイティンは女神様、神様に次ぐ、位の高い神獣なのだ。

幸い、命に別状は無さそうだし、手や口が動けば、ルナマリアは魔法でこの窮地を解決出来る。

(あー気持ち良い)

ポカポカ天気に、気持ち良い風。

ルナマリアはこの状況を受け入れ、日向ぼっこをしている気になり始めた。

(寝ようかな…)

ルナマリアは静かに、目を閉じたーーー。






***



「ーー丈夫?大丈夫ですか?」


どの位時間が経ったのだろう。

目を覚ますと、そこは見知らぬ家の中で、見知らぬベットの上に、横たわっていた。

心配そうに、自分を見つめる、ルナマリアよりも4~5つ程歳上に見える、14歳の少年。


「ここは…?」

「良かった、目を覚まして……君、近くの森で倒れていたんです」

痺れは大分落ち着いた様で、声が出た。


「助けてくれたの?」

体も、痺れはまだ残っているが、ちゃんと動く。

「はい。私の名前はレン=カターナと言います」

14歳には思えない程落ち着いた様子で、自己紹介するレン。

綺麗な緑色の髪に、綺麗な黄色い瞳で、とても整った顔立ちをしている。


(レン…。どこかで見た事ある気がする…けど…)


イケメンなだけで、最早、拒否反応が出てしまうが、攻略対象者に、レンの名前は無かったはずーー。


「…私はルナマリア。助けてくれてありがとう」

「どういたしまして。でも、まだ無理しない方が良いですよ」

起き上がろうとしたルナマリアを笑顔で制止すると、レンは席を立った。


「何か飲み物を持ってきますね」

「……」

パタンと、扉が閉まる。


「迷惑かけちゃった……」

ルナマリアは、動くようになった手で、小型の杖を出すと、小さな声で呪文を唱えた。


解除魔法(ゲートオープン)


優しい暖かな光が体を包み込むと、痺れが完全に消える。

「町……何の町だろ」

歩いていた場所付近で、町に寄るつもりは無かったから、ここは予定の無い、お世話になった妖精や精霊のいない町だろう。

(これ以上迷惑かけるのは忍びないから……早く出なきゃ)

かといって、暖かお布団の心地良さは素晴らしい物だ。

(お言葉に甘えて、飲み物だけ頂こう)

そう思い、ルナマリアは再度、ぬくぬく布団を顔までかけ、目を閉じたーーー。



ガシャッガッシャーーンッッ!!


「!」

そんな思惑の中、隣の部屋から、何かが倒れる大きな音がして、ルナマリアはパチッと目を覚ました。












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