表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/103

3





ラフラーレンを手に、ルナマリアは笑顔で告げた。


『ルナマリアぁ!いつの間にかこんなに立派になって!!』


その言葉に感激したラフラーレンは、ハンカチを手に涙を滝のように流した。


そのままお菓子やお茶のおかわりを勧めてくるラフラーレンを残し、ルナマリアは村に戻る為に来た道を歩いた。


(出来る事何も無いし……魔物の情報集めでもしよ)

テクテクと歩む。


根源となる魔物を倒せば手っ取り早いのだろうが、どうやら、魔物は大変強いらしく、危ないから絶っっっ対に近寄ったら駄目!

!と、ラフラーレンにきつく言いつけられてしまった。


(そんなに強いなら、私にはどうしようも出来ないし…)


神聖な森は女神様の加護が有り、魔物が入り込めないようになっている。

神聖な場所から1度も出た事が無いルナマリアは、魔物と対峙した事が無かった。


「はぁ…どこかに勇者様でも現れないかなー」


前世でよくある、王道の勇者が現れるのを、ルナマリアは空を見上げながら呟いた。



そんな中、道筋に、小さな男の子が1人、村から籠を片手に出て行こうとしているのが見えた。


(こんな所から?)


村の出入口とは違う。

人目につかないように外に出ている。

ルナマリアは男の子の出て行った方を見た。


(慣れてるから…初めてでは無いんだろーけど…)


村人やラフラーレンの話では、今は魔物が活発化していて、危ないと言っていた。


「……うー」

見つけてしまった以上、見過ごす事が出来ず、ルナマリアは男の子の後を追った。


横顔を見た男の子は、綺麗な薄紫色の髪に、美しい青い瞳。

まだ幼いながら、端麗な顔立ちをしていてーーールナマリアは、何故か、見覚えがあった。


(あれ?どこで見た事があるんだろ…?)


森に捨てられてから、1度も人間と関わった事が無い筈なのに…と、記憶を辿る。

んー。と頭を悩ましていると、前から声がした。


「ねぇ」


「わ!」

考え事をしてると、いつの間にか付いて来ているのがバレていたようで、男の子は立ち止まり、ルナマリアに声をかけた。


「ビックリしたー」

「君、村の外に出ちゃ駄目じゃないか!危ないよ?女の子なんだから!」

「私?」


自分を差し置いて、ルナマリアの安全を心配するその言葉に、ぽかーん。と口を開くも、すぐに気が付いた。


(そっか。小さい男の子って思ってたけど、私も今小さい女の子なのか!!)


25歳の前世の記憶を持つ、見た目8歳の少女。

目の前の男の子は、今の自分より少しだけ歳上に見える。


「……君も危ないよ。まだ小さいんだから」

「ぼ、僕は男の子だから!」

少しムキになって答える少年に、ルナマリアは子供だなー。と思いながら、話を続けた。


「怪我しちゃったら、お父さんもお母さんも悲しむよ?」

「うっ…」

良心的な心はちゃんと持っている様で、男の子は言葉を詰まらせた。


「…………お、お父さんもお母さんも……魔物の対応で大変そうで……だから、何かお手伝い出来ないかと思って……」

男の子の持っているカゴの中には、薬草が摘まれている。


(こんな小さな内から、自分から動くだなんてーー!!!)

なんて偉い子なんだ!!

と内心感心し、自分の低堕落ぶりを自覚する。


「小さいのに立派だね」

キラキラの目を向け、賛辞を送る。


「え?何?どーゆー事?」

明らかに自分より歳下の女の子に言われる台詞では無く、男の子は戸惑った。


「私、ルナマリア。貴方は?」

「……フラン。フラン=アドリアス」

「フラン?あはは。フランって聞いた事あるー!確かーー」

そこまで言って、思い出した。


バッ!と、フランの顔を見る。

(フラン…フラン=アドリアス!知ってる!私、ゲームで見たんだ!)



それは前世で、自分がプレイしていた、乙女ゲーム。


私は前世、病気にかかり、最後ずっと入院生活を送っていて、死ぬ直前までずっとゲームばっかりやっていた。


その中で、最強最悪のクソゲーと呼ばれていたRPG要素有りの乙女ゲーム!!



ヨウナと呼ばれるヒロインと、そのパートナーが、愛を育みながら、世界の敵である魔王を倒すとゆう、定番のストーリ!!

ストーリー自体はまずまずなのに、


そのパートナーとなる肝心の男性キャラが、全員くそ!!!


それぞれが辛い過去を持ち、闇堕ちしてて、ダメ男全開。

どうやって恋に落ちろと…との声多数。

キャラデザが良いイケメン達だけに、もう少し何とかならないのか!!との声が上がった残念イケメン乙女ゲーム!!!



(クソゲー過ぎて、あらかたCLEARした後、すぐ止めちゃったから、うろ覚えで、全く気付かなかったけど……)


確かゲームの名前はーーーリアリテに舞い降りた聖女ーーー



(まんまこの星の名前じゃん!何故気付かなかった私……)


私、ゲームの世界に転生しちゃったんだ!!!


「だ、大丈夫?」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ