表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/103

29





「な……何よ……これ……」

清香(きよか)先生も、突然現れた神聖な存在に、ぼう然と、立ちすくむ。

「…神…獣……?」

ルナマリアの言っていた、召喚の言葉を復唱する瑞月(みづき)

「神獣…?!神様の…獣?!」

おとぎ話程度でしか聞いた事の無い、幻の、聖なる生き物!



「ファイティン、悪い魔物を殲滅します」


ルナマリアも、魔法で杖を出すと、魔物達に構える。


『了解した。我が主よ』


ルナマリアを囲うように現れたグリフォンは、ルナマリアの命を了承すると、勢い良く魔物達に食らいかかった。

圧倒的な力で、多勢の敵を、打ち破っていく。

「な…う、嘘!嘘!嘘!何これ…何これ?!」

清香(きよか)先生は、目の前で起きている事が信じられない様に、パニックを起こしていた。


破壊魔法(ゲートオープン)


ルナマリアの呪文とともに、光が魔物達を次々と貫通し、絶命させていく。

全ては圧倒的で。

ルナマリアは、汗1つかかず、慌てる事も無く、無表情で、全てを終わらせる。

教室内にいた魔物も、グラウンドにいた魔物も、ファイティンとルナマリアの魔法で、あっという間に倒された。


『ガルルルル!!』

「ひっ!」


厳しい目つきで、目前まで迫るファイティンに、清香(きよか)先生はその場で尻餅をつき、小さく悲鳴をあげる。


「駄目だよファイティン。人を食べないで」

『こんな不味そうな人間、食べぬわ』

ルナマリアは、清香(きよか)先生に杖を向けると、捕縛の魔法を唱えた。

光の輪が、清香(きよか)先生の体を拘束する。


「あ、あ…本当に…神獣?!どうして…どうして、そんな小娘なんかにーー!!」

『我が主を愚弄するな!許さぬぞ!』

「ひぃ!」

萎縮するのも無理は無い。

ファイティンは神聖なるもの達の中でも、神や女神に次ぐ、位の高いものとして知られている。

そんな高貴な存在が、ルナマリアを主と呼び、仕えている。


「ル、ルナマリアって…何者…?」

窮地と思っていた状況は一瞬で覆った。

彼女にとって、あの状況は窮地でもなんでも無かった。


「あーあ……校舎ちょっと壊しちゃった……」

当の本人は、戦闘によって破壊された校舎を気にしていて、1人、落ち込んでいた。






***



翌日ーーー。




『お久しゅうございます。ファイティン様』


『久しいの、神楽(かぐら)


神楽(かぐら)邸にて、神楽(かぐら)は、両膝をつき、腕を掲げてファイティンに丁寧に挨拶をした。


『ご挨拶が遅れた事、深くお詫び申しあげます』

『う、うむ』

深々と頭を下げる神楽(かぐら)に、ファイティンは引き気味に頷く。



「挨拶が遅れちゃったのは、神楽(かぐら)が烈火の如く怒りまくって、見境をなくしちゃったからだよ」

すぐ側のテーブルにそれぞれ、瑞月(みづき)、ルナマリア、傍にはグリフォンやトロンの姿。

テーブルから少し離れた場所で挨拶を交わす2人の様子を見ながら、ルナマリアが昨日の出来事を思い返した。



あれから、騒ぎを聞き付け、急ぎ駆け付けた神楽(かぐら)は、騒ぎの原因と元凶を知り、大激怒。

そのままの勢いで和の国を滅ぼしそうな所を、瑞月(みづき)とルナマリアが必死に宥めた。



『離せ!世にも恐ろしい目に合わせてやるわ!ルナマリアに魔物をけしかけるなど!なんたる罰当たりなーー!!』

『落ち着いて下さい神楽(かぐら)様!』

『止めてよ神楽(かぐら)!ルナ、大丈夫だから!』



それはもう怒りに怒って、どちらかと言うと、ルナマリアには神楽(かぐら)を宥める方が大変だった。

怒り狂った神楽(かぐら)は、自分より位が高いファイティンの事も完全にスルーし、あまりのキレっぷりに、ファイティンも引いていた。



『ほんに、恥ずかしい姿をお見せしてしまい…』

『い、いや、儂は気にしておらぬ』


深々と再度頭を下げる神楽(かぐら)に、ファイティンは優しい言葉をかけたが、実際は、ファイティンは神楽(かぐら)のキレっぷりに若干どころか、かなり引いていた。



結局、神楽(かぐら)は和の国に正式に抗議をし、元凶となる清香(きよか)先生は、この国では大罪となる、人を傷付ける魔物を手引きした件や、魔物の意思を無視し、無理矢理調教した罪で、無期投獄となった。

その際、全てを失い、絶対的な敗北を叩き付けられた清香(きよか)先生は、茫然自失状態で、反論も、反抗もしなかった。


「本当にありがとう、ルナマリア」

瑞月(みづき)は、改めてルナマリアにお礼を告げた。


「ルナマリアのお陰で、僕は、魔物使(テイマー)になる覚悟が出来たし、また、いつも通りの生活が送れるようになった」

瑞月(みづき)の傍には、先日、魔物使(テイマー)したグリフォンと、トロンの姿。

2匹とも幸せそうに、瑞月(みづき)の傍にいる。


(全員救えて良かった)


「ね?瑞月(みづき)は立派な魔物使(テイマー)になったでしょ?」

「立派かどうかは、分かんないけど……そうなるように、努力したいな」

幼ないながらに、覚悟を決めた瑞月(みづき)の表情に、ルナマリアはバッ!と視線を逸らし、顔を手で隠した。


(めっちゃ良い奴なのに、何で魔物喰になるのーー!??!!)


「ど、どうしたの?!」

急なルナマリアの態度に困惑する瑞月(みづき)

「大丈夫。未来予想図に私がついていけないだけだから」

「未来…予想図…?」

全く意味が分からないが、スルースキルを手に入れた瑞月(みづき)は深く追求しなかった。


「…ね、ルナマリア」

「ん?」

そっと、ルナマリアの手を握ると、自分の頬に持っていく。


「僕、ルナマリアと一緒に、学校生活を送りたいな……。旅なんて止めて、ここで、一緒に過ごそうよ」

上目遣いで可愛くおねだりする瑞月(みづき)


(可愛い!!流石キャラデザだけは最高満点!!!)

心の中で思わずルナマリアは叫んだ。


「んー。私、お使い頼まれてる途中だし……それに、学園の様子も見に行かなきゃいけないし」


お使いは女神様の、お世話になっている妖精達に恩を返して来いと放り出された事で、学園の様子は、この世界(リアリテ)が滅亡の道を辿らないよう、ゲーム《リアリテに舞い降りた聖女》の進行状況を確認する為である。


やんわりと断るルナマリアに、瑞月(みづき)はむー。と、頬っぺを膨らませた。

「ほんと、ルナマリアには僕の可愛さが効かないんだね」





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ