表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/103

11





ジュリアスは黙り込んだまま、何も答えない。


(確か、ジュリアスは、貧困街(スラム)出身だっけ)


ルナマリアは、ジュリアスのゲームでの設定を思い返した。

貧しい貧困街(スラム)育ちで、生きる為に盗みを働き生活していて、その手癖の悪さに目を付けた悪党に勧誘され、そのまま悪の道に進む。


スリや暴力などで身に付けた盗賊(シーフ)としての素質を認められ、学園への入学を認められるーーー


(ーーーいやよく入学させたなこんな奴!!!)

ってツッコミは、クソゲー制作陣にお願いしたい。


「……」

ルナマリアは、ジュリアスをチラリと見た。


ボロボロな服に、痩せ細っている体。

貧困街(スラム)出身っていうのは、ゲームの設定で知っていたけど、実際目の当たりにすると、過酷な中で幼少期を過ごしていたのだと理解する。


(でもだからといって、他人(ルナ)のお金を盗るのは駄目だよね)


「本当は、こんな事したくないんじゃないの?」

ジュリアスは、謝罪の言葉を口にし、今も、苦悩しているのが、表情で見て取れる。


「っ!お前に、何が分かる!俺等はーー生き延びる為には、悪い事しなきゃやってらんねぇんだよ!」


貧困街(スラム)出身というだけで、差別し、雇って貰え無い。

綺麗事ばかり並べた説教なんて、彼にとっては耳障りなだけだった。


「ーーーどうして?そんな事しなくても、ジュリアスなら充分生きていけるよ」

「ーーは?」


何故悪い事しないと生き残れないの?と、不思議そうに、全然そんな事しなくても生きていけると、平然と答えるルナマリアの台詞に、ジュリアスはつい、呆気にとられた声を出した。


「いや、いい加減な事ばっか言うなよな!大体、お前みたいな子供が分かりきった事いいやがってーー」

「ジュリアスも子供じゃん」


ぎゃーぎゃーと怒鳴るジュリアスの声に、ルナマリアは耳を塞いだ。



「ーーおい!」

「「!」」

そんな言い争いをしている2人に、呼びかける声。


「あ、さっきの悪党パーティさん」

「あぁ?!しばくぞてめぇ?!優秀な冒険者だっつてんだろ!」


声をした方を振り向くと、そこには先程ギルドで難癖をつけてきた、ルナマリア命名悪党パーティ一行。


「はい。存じてます」

何故か自信満々に答えるルナマリア。


悪党の才能があると捉えた上での命名であり、それが彼等の言う優秀の正解だと信じて疑っていない。


「もーいいじゃない、そんな小娘ほっときましょうよ。小娘に用は無いんだから」

悪党パーティの一味、魔法使いのお姉さんが、怒っている剣士を宥めるよう声をかけた。


「ーちっ。まぁいい。おい、お前!」

悪党パーティが用があるのはジュリアスらしく、彼はジュリアスを指さした。


「お前に用がある。こっち来い」

「……何の用だよおっさん」

睨み付けながら尋ねる。


「口の聞き方に気をつけろガキ。いいのか?俺等は、この辺を牛耳るマフィアの一員だぜ?」

「!」

マフィアの単語に、ジュリアスの顔色が変わる。


「マフィアの一員はギルドに顔出しとかするのNGですよー」

2人の間から口を出すルナマリア。


「俺等の仲間になれ。なぁに、悪いようにはしねぇさ。金だってくれてやるよ」

「……金……!」

「ああ。貧困街(スラム)には仲間がいるだろ?そいつ等の為にも、金が必要だろ?」


ジュリアスは、考え込むように、下を向いた。


「うわ!いかにも悪党!って感じですねー」

「うっせぇなさっきから!いちいち横やりいれてくんじゃねぇ!」

1回目はスルーしたが、2回目は我慢出来なかったようだ。

ルナマリアに向かい再度怒鳴りつける。


「だって困るんですよー」

そう言うと、ルナマリアは俯いているジュリアスの前に立った。



「私が彼をパーティに誘おうと思っていたのに」



「!お前ーー」

ジュリアスは俯いていた顔をばっと上げた。


「ああ?ふざけてんのか」

武闘家の男も、ルナマリアの言動に、拳をパキパキと鳴らし始め、魔法使いも、杖を構えた。


「ねぇ、綺麗な顔してるし、こいつ売っちゃいましょうよ」

僧侶が名案のように言う。

「そりゃ良い!少し位痛い目に合わせても構わねぇ。捕まえるぞ」


「人身売買は禁止ですよー」

禁止事項のオンパレードですねーと、険悪な雰囲気なのにも関わらず、ルナマリアの様子は変わらない。


そんなルナマリアの態度に、悪党パーティ達の苛苛は募るばかりで、剣士は剣を抜き、そのまま、ルナマリアに向かった。


「怒っちゃった…」

「おい!何ボーっとしてんだ!早く逃げーー」

ジュリアスがルナマリアの腕を掴んだ瞬間ーーー



ピカッーーーーー!!!!!!

路地に設置されていたランプが、一切に強い光を放つ。


「!何だこれ!急にどーなってやがんだ!」

眩しくて、目が開けられない程の光に、剣士は動きを止め、腕で目を隠しす。



「ねー!こっち、凄いランプ光ってるよー!」

「ほんとだわ。何かしら?」

一通りの少ない路地の急なランプの発光に、気付いた街の住人が、ざわざわと集まって来るのが聞こえた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ