おまけ 1
完結後、沢山の方が見に来て下さってありがとうございます。オマケ3話だけ追加しました。よければ見て下さい。
ありがとうございました。
聖女が世界を平和にする前の物語ーーー。
「ふわぁ」
大きな木の上、枝に座り、幹に寄りかかりながら、ルナマリアは、大きな欠伸をした。
結局、俺様モラハラ残念男タマは、強制的に国に戻らされ、学園には平和が戻った。ヨウナも、まだオドオドしている所はあるものの、以前よりはしっかりと自分の意見を言ったりして、強くなった気がする。
このままヨウナが、攻略対象の誰かと恋愛して、魔王を倒してくれれば、世界が平和になる事間違いなし。
「このままヨウナに任せて、私はぐーたら学園生活を送ろーかなー」
どの攻略対象のルートに入ってるの分からないけど、少なくともフランは、私と同じように、聖女の力ーー他者に力を宿す力を与えられた。フランルートが濃厚かな。と、ルナマリアは予想している。
因みに、今は夏季休暇中で、学園はお休み。
生徒の大半は里帰りしてるみたいだけど、私が帰る場所と言えば、女神様の所になるわけで、まだ帰って来て良いと許可されていないから、帰りたくても帰れない。
(私、一体いつ帰れるんだろ…)
今までお世話になった妖精達にお礼をする旅をしていたはずなのに、何故か魔王の監視を言い渡され、学園に入学する事になり、今に至る。
世界が滅亡されたら困るから、元から様子は見るつもりだったけど、入学する気はサラサラ無かったのに、気付けば入学して、がっつり攻略対象やヒロインと関わってる自分がいる。摩訶不思議だ。
「まーでもうじうじしても仕方無いし……大問題のタマもいなくなったし……夏季休暇くらいはぐーたら過ごそ」
そう決め込むと、ルナマリアは目を閉じた。
『キュンッキュンッ!!』
暫く経った頃、木の下の方から、何かの鳴き声が聞こえ、ルナマリアは目を覚ました。
「?」
動物とは違う。その声の主は、まん丸い形をした、白黒のパンダのような色の毛皮をした魔物だった。
良く見ると、そのパンダの魔物は足を怪我している様で、血に染まった足を見ながら、ポロポロと涙を流していた。
「大丈夫?」
飛行魔法を使い、高い木の上からフワッと地面に降り立つ。
パンダの魔物は、急に現れたルナマリアに驚いたように体をビクッと震わせると、シューー!!!と、威嚇するような声を上げた。
警戒されてる……。そっか。魔物だもんね、人間が怖いのかな?害の無い魔物ですら、殺したりする人達がいるって話だし。もしかしたら、足の怪我も人間にやられたのかな?
足の怪我は、弓矢で負ったような怪我に見える。命からがら、人間の手から逃れて来たのかもしれない。
ここで問題なのは、この魔物は害があるのか無いのか。人の命を脅かすような害のある魔物なら、容赦してはいけない。だけど、この魔物からは、ルナマリアに対して、警戒してる様子はあるけど、殺意は感じなかった。
「怖い?ごめんね、直ぐ治してあげる」
ルナマリアはそう言うと、回復魔法を唱え、パンダの魔物の怪我を癒した。
「もー大丈夫でしょ?痛くないよ」
綺麗に治った足を見て、パンダの魔物は驚き、喜んでその場で飛び跳ねると、ルナマリアの足元まで来て、頬をスリスリして来た。
「可愛いー!!!」
まん丸のミニマルサイズの、ふわふわ毛皮のパンダみたいで、とってもキュートで可愛い!!!
瑞月のトロンもグリフォンもだけど、魔物の中にも人畜無害で人間に好意的!可愛い魔物はいる!!!何でこんな可愛い魔物を傷付けるのか意味不明。
ルナマリアは持ち前のタラシスキルでメロメロになったパンダの魔物を抱っこすると、その毛皮を撫で撫でした。
癒されるー!
「ーーー!!」
呑気に魔物を可愛がっていると、ゾクリと、背筋に悪寒が走り、急いで杖をかざした。
「守護魔法」
バチッ!と、守護の魔法と、攻撃されたであろう魔法とがぶつかり合う。
「……初対面で随分なご挨拶だね」
目の前に現れた人物に対して、ルナマリアは平静を装い、言葉を発した。
真っ暗な衣装に身を包まれた、頭から2本の角を生やした、人型の魔物。人型の魔物は珍しい。ルナマリア自身、旅を初めて、1度しか遭遇した事が無い。そして、人型の魔物の特徴として、とても強い事が上げられる。
実際、以前出会った人型の魔物も、ルナマリアの探知の魔法が効かず、街への侵入を許してしまった。今、目の前にいる人型の魔物も、例外では無く、とても強いと、肌で分かる。
(何でこんな所にいるのーー?!)
更に言えば、ルナマリアは、この男の正体を知っていた。
綺麗な顔立ちに、白髪の髪、黒い2本の角。鋭い紅い目。攻略対象者やヒロイン等、主要キャラ以外、スチル絵の無いこの最低最悪のクソゲーの中で、スチル絵が与えられたこの人物の正体はーーー
『我の部下を離せ、姑息な人間共が』
(ーーー魔王!!!)
ヒロイン、ヨウナが、攻略対象と共に倒すべき相手。
ルナマリアは臨戦態勢のまま、魔王に向き合った。
「いきなり攻撃をぶつけるのは良く無いと思うよ」
『人間に礼儀等必要あるのか?貴様等は直ぐに攻撃を仕掛けてくるくせに!』
「殺意の無い魔物にはそんな事しないよ」
何故なら面倒だから。戦闘は出来るだけ回避してナンボだと思ってるから。一生ぐーたらしていたいから!




