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第2章 うろこ雲と厚化粧(10)

「お願いしますって言われたんだけど、どうするんだ?」

 訊ねた俺に松本はゆっくりと目を合わせる。

「……どうしてもって言うんなら、入部してあげてもいいけど」

「ほんと素直じゃないのな」

「もうっ、どっちなの? 入ってほしいの、それとも入らなくていいのっ?」

「どうする、水無瀬?」

 答えなんて聞かなくてもわかっているけど、素直に入ってくれというのも癪に障る。

 話を振られた水無瀬は両手を重ねて大きく伸びをする。

「雨、やんだね。予報が当たってよかった」

「なんだよ、それ? 雨降って地固まるとでも続けるのか?」

「えっ、ごめんそんなベタというか、じじくさいことなんて言わないけど?」

 目を細めてじとーっとこちらを眺める水無瀬。

 ほんとにこいつは……。

「ったく、俺が言えばいいんだろ。わかったよ。松本、キボウ部に入ってくれ」

「わかった。センパイがそこまで懇願するなら入ってあげる」

 金色の髪の先を指先でいじりながら松本。こいつもこいつで素直じゃない。

「じゃあ琴音ちゃんは副部長ってことでよろしくね」

「は? 俺よりあとに入部して、しかも一年なのに松本が副部長なのか?」

「だって動画はこれからのわたしたちの活動の中心になるわけだし、その動画配信に詳しい琴音ちゃんが副部長になるのは当たり前でしょ」

 年功序列なんて古いよ、と付け足す水無瀬。

「じゃあ水無瀬が部長で松本が副部長で……」

「麻帆は予報監だよ。官僚の官じゃなくて、監督の監、ね」

「えっ、じゃあ完全な平は俺だけってこと?」

「いちおう広報担当って役割はあるけど、まあ平だね」

 目を丸くする俺に水無瀬はふふんと微笑む。

 ほんとどうなってんの?

 こんなに虐げられるなんて……。勢いに任せて松本にはさっき偉そうなことを告げたけど、部活やめようかな?

 がっくり肩を落としていると、

「一真、なにしてんの? これからファミレスで琴音ちゃんの歓迎会するよ」

 いつの間にやら水無瀬たちは俺を残して公園の外のほうへと歩き出していた。


□  ■  □


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