即死魔法≪死≫を使った新しい移動方法を考えたが質問ある?
とざいとーざい。
さてさて皆様ご注目。
今回は即死魔法≪死≫を使った、超お手軽な移動をご提案。
方法は簡単。
「あらよっと!」
まずは崖から飛び降りる!
うーん風が気持ちいい。
「本当に大丈夫なのかしら。」
「…ヤギリはすごいから大丈夫!」
崖下から観客も沸いております。
そろそろ地面が近づいてまいりました、さあここで。
「≪死≫!」
するとあら不思議。
今ある勢いを殺して落下のダメージが無効に!
「なる予定だったのね。」
「はい…」
「…ヤギリ大丈夫?」
もう全身がいてえいてえ。
「…腰からいってた。」
「頭じゃなくてよかったよ。ほんと。」
「何が『よかった』よ。こんなバカなことしなければ健康状態だったのよ。」
あんたは海に入れそうにないわね。
と、スタスタ行ってしまうフロウ。
「…ヤギリ、いこ?」
「うん。実験は失敗したが、近道にはなったしな。」
ちなみに女性陣は、フロウの作った水の階段で素早く崖をショートカットしていた。
…即死魔法だってやればできるもん!
すこし時間が進んで、目に見えるのは赤みがかった空と海、白い砂浜。
キャーキャーと波打ち際ではしゃぐ女性陣。
そして、それを眺める僕。
「目の保養にはなるな。」
海の近くにできたここは、ザ・バーンとはまた違った街並みである。
囲われているというよりもむしろ開放的な場所。
ここは砂浜だから船こそないが、入ってきた時に見てきた港と船とそこに集まる人々は活気があった。
落ち着いている場所と騒がしい場所の二面性というのだろうか。
ただそれを不快にも感じさせない、何とも良い雰囲気だ。
さて、明日からどう動いていこうか。
「お兄さん、何してるんですか?」
「へ?」
声をかけられて振り向いたところには、一人の女性がいた。
しかも、美人だ。
ウィリスはかわいい。フロウは暴力的。
この二人とは違う、美しいの部類。
「いや、あいつらの監視をしてます。」
「それって、不審者ってこと?」
「…。」
しまった。
このままでは、また変態のレッテルを張られてしまうではないか。
「違います違います。保護者みたいなもんです。」
「ああそういう。」
危ない。この街での評判を落としてなるものか。
「今旅をしていまして、海が見たいっていう仲間がいたのでここまで来たんですよ。」
「なるほど、いい街ですよ『サラミア』は。風は気持ちいいし、お魚は美味しいし。」
そう語る、この女性の顔はとても嬉しそうだ。
「あと、観光名所に聖女の棺が納められている教会がありますよ。」
なんと、いいことを聞いた。
海に入った、はいおしまい。では詰まらないと思っていた所だ。
ちょうど二人がこちらに向かってきている。
「おーい。あんた何してたのよ。」
「実はこの女性に、サラミアについていろいろ教えてもらってたんだよ。」
「あんた、何言ってんの?」
「だから観光スポットとかをだなあ」
「…ヤギリ違う。そういう事じゃなくて」
ヤギリはずっと一人で何をしていたの?
って聞いてるの。
「おい何言ってんだよ。この人…が…」
いない。
誰も、いなくなっている。
日はもう暮れかけている。
海は青から赤に変わっている。
もうじき夜になるだろう。
どうやらこの街でも、何かおかしなことが起こりそうだ。
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