即死魔法って範囲攻撃もあるんだけど質問ある?
「転生者『ヤギリ カイト』。貴殿を追放とし、今度一切の入国を禁ずる。」
「は?」
魔王城から戻り報酬を貰うと、いきなり追放されてしまった。
聞くと、即死魔法は危険すぎる。ということだった。
…いや確かにそうだけど、魔王を倒したのにこの扱いはひどすぎないか?
宿にすら泊まれずに、さっさと出て行けと?
もうちょと優遇とかあってもいいのに…
必要な物もほとんど買えず、特筆すべき持ち物は報酬でもらった金だけの状態で、僕は国を追い出された。
ねえ知ってる?僕魔王倒したんだよ?
とりあえず今は馬車の後ろを借りて、隣国の『ザ・バーン』に行くために平原を進んでいるけど…
「すいません。ザ・バーンってあとどれくらいで着きますか?」
「今は夕方だから…早くても明日の朝になるだろうよ。」
明日の朝か…
まあどうせやることもないし、ゆっくりと今後を考えるしかないかぁ。
安定した生活は難しいだろうな…いっそのこと旅とかしてみるか?
などと考えていると、いきなり馬車が止まった。
そして、
「…騎士団様方が、追放された僕なんかになにか御用ですか?」
追い出された国の騎士団が馬車を取り囲んでこちらを見ていた。
「王からの命令だ。貴様を殺せとな」
…なるほど。即死魔法が危険っていうのは、国的な意味で危険だったのね。
そりゃあお命頂戴も頷ける…もちろん許せないけどね。
「貴様の能力の弱点は既に見切っている。貴様の魔法は単体攻撃だとな!」
なるほど。物量作戦でおしてしまおうってことか。
確かにこれまでの僕は≪死≫しか使って来なかったし、そう思われても仕方ない。
「...」
「はっ。やはり図星か。皆の者かか__ッ!」
「≪範囲死≫!」
広い魔王城のやつらを倒したのに、範囲技がないわけないでしょ。
魔王討伐の転生者なめんな。
まあびっくりしたけど敵は良いや。問題は…
「…あの、馬車の方を。」
「は、はい!」
隅っこでがくがくしていたおっちゃんは、直立してプルプルしている。
「…えっと。ザ・バーンまで」
「わ、わかりましたぁ!」
…楽しい旅になりそうだな!
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