即死魔法≪死≫よりもレアらしい妖精王に会いに行くことになったけど質問ある?
本当の妖精の姿をお教えしよう。
まずは見た目。
人の身体の背中に大きな羽。
しかし不格好ではなくむしろ美しい。
服は…なんかフワフワしてる。ドレスみたいだ。
…ここまではおおよそ想像と一緒だ。
しかし、唯一違う点があるとすれば
「意外とおっきいんだな。妖精って。」
「大きさなんて簡単に変えられるわよ?蹴るために大きくなっただけ。」
…さいですか。
青い髪をなびかせて、『フロウ』と言う名前の妖精は悪びれもせずに言った。
「いやそれよりも、えーっと。ヤ、ヤギ…」
「…ヤギリ。名前はヤギリだよ。」
おお、癒しのウィリスよ。なんて完璧なフォロー。
ところでウィリスとフロウは、お友達なようである。
村と湖の距離が近いことから、あのエルフの村自体と関わりのある妖精に違いない。
「ああ、ヤギリヤギリ。人の名前って覚えられないのよねえ。」
えぇ…妖精はそんなもんなのか?
「それもまとめて話すわ。妖精っていうのはね、通常の人には見えないの。だから普通は魔法とか道具とか使うわけ。だから人なんかいつも気にしていないの、名前なんて聞こうとも思わないわ。」
妖精独自の価値観と言うかなんというか。
…あれ?でもウィリスは見えてるよな?
「…エルフは妖精さんと昔から関りが多いから、妖精王様との契約でいつでも見えるようになってるの。」
「けど、あんたは人なのに普通に見えてるからおかしいの。」
「え、まじ?なんか体がおかしいとかあるのかなあ。」
「多分転生者だからとか、そんな感じ?…まあいいわ。あんた達、なにか用があってここに来たんでしょう?」
まあいいわって、それフロウが言う事じゃないよね。
ていうか、僕らただの観光だしね。
「え?観光?ここに来たのにただの観光?」
「…あの、私が用事あるんです。」
…そんなの僕に言ってくれなったじゃん。
もお。なんて頭の回る子なのかしら。
なんてかわいいのかしら。
「あ、ウィリスの方なのね?ご用件は?」
「…村から出ることになったから、妖精王様にご報告をしに来たの。」
「そんでこの男についていくってわけ?」
ヤギリだよ。実は魔王も倒してるんだよ。
割とすごいよ。
「なんでもいいわよそんなの。」
…さいですか。
「…ヤギリは良い人だよ?ダメ?」
ウィリスぅ。優しい子だよお前は。
泣きそうだよ僕は。
「ダメも何も…」
「おいなんだその目は。どう考えても良い人だろうが。」
「ほんとかしら…。まあいいわ。早速妖精王様のところに行きましょうか。良し悪しも可否も、まとめて妖精王様が決めてくださるわ。」
なんと、意外と簡単にご対面できるのか。
「…多分、ヤギリが妖精さんを見えてるから簡単なだけだと思うよ。」
「本当その通りよ。私たちってめちゃめちゃレアなんだから。」
妖精王様なんて更に激レアなのよ?
と、自慢げに話しながら湖の上を歩いていくフロウ。
いやどこ行くねん。
「二人ともこっちに来なさい。入り口は湖の真ん中なんだから。」
普通に渡っているが、いろいろ説明を端折りすぎじゃないか?
いやしかし…うーん。
…行こうかウィリス。
「…う、うん。」
恐る恐る足を水につけると…おお、しっかり歩ける。
僕らはフロウを追って歩き出した。
全ては、次の旅へ向かう第一歩のために。
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