表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/24

即死魔法≪死≫を今回は使わずに考え事するけど質問ある?

 青い湖を見ながら明日の予定を考えている時が、世界で一番安らかな気持ちになる。


 だが、こんなところで夜を過ごすわけにはいかない。


 僕の膝で寝ているウィリスをあと少ししたら起こさなければいけないなんて、こんなことがあっていいのか!


 …さて、おふざけは終わり。真面目な話だ。


 僕は今回の依頼でウィリスの成長を願って手を抜いた。


 もちろん褒められたことではないが、それ以上に一歩踏み出してほしかったからだ。


 ウィリスの動きはあの短時間でみるみる成長していた。


 自分の魔法を理解して使いこなしていた。


 という点だけを見れば成長しているのだろうし、これからの旅でやられっぱなしになるという事は無いだろう。


 しかし、ウィリスは今回の一件でどんなことを考えただろうか。


 僕はこれが心配だ。


 ウィリスは奴隷にされそうになっていた。


 何とか村に帰ってきたものの、今度は母が奴隷商人に捕まっていた。


 ウィリスは今、人という種族にどんな感情を向けているのだろう。






 人は珍しいものは良いものだ。と思うのだろう。


 実際、素晴らしいものは滅多に見つけられることがない。


 そして良いものを多くの人に共有したいと考えるのもわかる。


 するとどうだろうか、その珍しいものが欲しいと思う人種が出てくるのだ。


 そしてその需要を使って商売をしだすやつが現れる。


 この流れはおかしなことではない。


 宝石や高度な技術なんかがそうだ。


 「金」というもので取引されるものである。


 しかし、これが生き物になると変わってくる。


 例えばペットや家畜だ。


 生き物を育てるために、命と金を交換する。


 誰かのためになる、命。


 癒しかもしれない。食料かもしれない。


 ただ、どちらも命を大切にしようとする。


 ありがとう。という気持ちが絶えることがない。


 そしてこれが人やエルフと言った人種になるとどうだろう。


 奴隷商人や奴隷を買うやつらは、こぞって先の例を出す。


 「いったい俺たちの何が悪いんだ?」「お前らもやっているよなあ。」


 違う。全く違う。


 権力を持ち過ぎた挙句、欲しいものは何でも手に入ると思った奴が。


 そんな外道に目を付けたやつらが、命に感謝をするはずがない。


 大切にすればよいのか、それもまた違う。


 ペットや家畜は人の歴史のうちに作られた、人の文化を支えてきてくれたものだ。


 人は、その文化の上で一生懸命生きていくしかない。


 ならば、その生かされている人種たちが、お互いを都合の良いように使っている暇はないのだ。


 奴隷は悪い事なのだ。






 …という結論が僕の中では出来ている。


 しかしこれは、間違っているとか正しいとかではない。


 この考えがあるからこそ、僕は奴隷を扱うやつらはクズで、一定数しかいないと理解できている。 


 だが、ウィリスはまだ子供だ。


 もし、人はエルフを商売道具としか見ていないと思ってしまったら…


 もし、人は敵であると思っていたら…


 そう考えると、とても悲しくなる。


 人間と生活しているエルフはたくさんいる。


 良い人も世界には多くいるんだ。


 …なんて、杞憂だな。考えすぎだ。


 ただこれからの旅で、例えばきれいな景色だとか。


 いろんな人種との交流だとか。


 多くの事を経験してほしい。


 そして…


「…んぅ。」


 ふわぁ。とあくびをして起きるウィリス。


「起きた?」


「…うん。おはよう。」


「よし。じゃあそろそろ行こうか。」


 …と、言うつもりだった。


 が、最後まで言い終えることはできなかった。


「あんた何してんのよおぉぉぉ!」


「ぐっはぁぁぁ!」


 なぜなら、後ろからの蹴りによって湖に叩き込まれたからである。


「誰だこの野郎!非常識にもほどが…は?」


「ちょっとウィリス!なんでこんなところにいるの!」


 湖からずぶ濡れで出てきた僕が顔を上げる。


 なんとそこには、青色の長髪女性がウィリスに話しかけていた。


 おかしな点が多すぎるが、特におかしなところを上げるならば。


「羽が…生えてる。」


 これは、妖精と言うやつなのか?


「お前、何者だ?」


「は?あんた、私見えてんの?」


 え?そこから?

もしよかったら評価とブックマークお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ