即死魔法が効かなかったけど質問ある?
シビアなエルフのお兄さんから、ゴブリンたちが住み着いていた洞窟は教えられていた。
現在、入り口の見張り二匹を倒したところである。
洞窟なんかは入り口から火をつけると楽なんだが
「…お母さんが中にいるからできない。」
「そうなんだよなぁ。ここは真正面から突っ込むしかないか。」
さて、明かりはいったいどこにしまったかなっと…ん?
ウィリスが袖を引いている。
「ん?どうした?って…ああ、弓矢か。」
ウィリスの魔法は弓ではなく矢の方から出る。
「そりゃあ、矢を光らせることだってできるわな。」
ウィリスとウィリスの矢に感謝をしながら
僕らは洞窟に足を踏み入れた。
さて。道が二つに分かれていたら人はどうするでしょうか。
そうですね。
右に行きますね。
ということで、僕らは二つに分かれた洞窟内の道を右に向かった。
…洞窟の奥に広い空間があった。
松明が一本掛けられてあるから一応照らされてはいる。
するとそこには
「お母さん!」
ウィリスのお母さんが横に倒れていた。
そしてもう一人、知らない男がいた。
「た、助けか!助けが来たのか!」
「いや、うーん。お前の助けじゃないけど。」
聞けばこの男、どうやら商人らしい。
ザ・バーンへ向かう途中に襲われたそうである。
「…ヤギリ、お母さん気絶してる。」
そうか……このまま連れて帰ることもできるが。
「え、助けてくれえないのか?」
「逃げたらいいのに。別に縛られてるわけじゃないし。」
「でもよ、あっちにはオーガが…」
噂をすればなんとやら。
突如、地響きのような足音が洞窟内に響き始める。
「…こっちに来てる。」
ウィリスはすでに弓を構えている。
地響きはどんどん近づいて来ている。
…さて、手を抜くか。
「商人。そこの倒れてるエルフを守っててくれ。」
「わ、わかった。」
…あれ。ゴブリンの足音ってかき消されるくらい小さかったっけ。
「…くる!」
声に合わせるように、オーガが前のめりに部屋に突進してくる。
おお、超アグレッシブなオーガだこと。
「ただ、これじゃあ良くて気絶。…まあ死んだろ。」
さて困った。これではウィリス活躍伝説が作れない。
ここはゴブリン一行を一網打尽に…あれ。
「…ヤギリ。おかしい。」
「ああ、ゴブリン共が来ない。」
それどころか、オーガが起き上がっている。
「おいおいおい、ちょっくら頑丈すぎやしないか。」
まずいな。起き上がったオーガは弓を持っているウィリスを狙うに違いな
「…ヤギリ!危ない!」
「___ッぶな!」
間一髪。
なんと、こっちを狙ってくるとは思わなかった。
それどころか、棍棒を横に振るおうと振りかぶっている。
縦に振れ、縦に。
…オーガくらいの知能なら棍棒を天井にぶつけると思ってたんだが。
しょうがない。背に腹は代えられない。
「≪死≫!」
はい。一撃必殺。
…じゃない!?
「本気であっぶねえ!」
棍棒をしゃがんでよける。
上を通過した棍棒は壁にぶつかる。
…違う!違うって!効かない!?即死魔法が効かない!?
壁には大きなへこみが出来ている。
どれだけ強い力で殴ったんだ。
ただ…
「利き腕が落ちたのはラッキーだな。…ウィリス。」
「…なに。」
「あいつの目を焼け。」
ドズッ!
見事にオーガの頭に刺さった弓矢。
しかも燃えてる。
…だから行動が早いって。
ただここまでやれば…は?
「なんで…生きてるんだ?」
それどころじゃない。
鳴き声一つさっきから出していない。
…おい。いったいこいつはなんだ?
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