即死魔法よりも強い思いを尊重するけど質問ある?
曰く。エルフ達は、ゴブリンが森に住み着いてから、対策を練ってきたようである。
柵を作り、見張りをつけ、なるべくゴブリンに遭遇しないルートを考える。
ゴブリン側も一度攻め込んだ際、全く勝つことができなかったことから、それ以降の襲撃はしてこなかったそうだ。
しかし、そんなバランスが取れてきたころ、オーガがそれを壊した。
対応ができないわけじゃない。
だが、あまりにもいきなりすぎたらしく不意を突かれる形になった。
そして襲撃に夢中になっていた際、ウィリスのお母さんが攫われてしまった。
そして依頼は、ウィリスのお母さんの奪還。
「その通りだ。お前使う、あの≪死≫を借りたい。」
僕は間髪入れずに首を縦に振った。
折角再会を楽しみにしていたウィリスを悲しませるわけにはいかない。
だが、おかしなところが三つある。
一つは、オーガの存在。
ゴブリンとオーガの共存はよくあることだ。
しかし、オーガの出現があまりにも突然すぎる。
ゴブリンがオーガを呼んだにせよ、オーガが自らこの森に来たにせよ、予兆もなく出現はどうも引っかかる。
とは考えてみるものの、所詮は魔物。
≪死≫で何とかなる。
生きているのだから、死ぬ。
もう一つは、なぜエルフを攫う必要があったのか。
蛮族の考えることなど、わからない方がいいのかもしれない。
しかし、村を襲ったのならば、食料や衣類など、もっと奪う物があったはずだ。
まさか、ゴブリンとオーガたちの後ろに、また別の何かが動いている…?
どれだけ考えても、今はわからないことだ。
そして、最後のおかしなところは
「…最後おかしなところは?」
こちらを見つめるウィリス。
「そうだね。なぜかついてきているウィリスだね。」
正直、ウィリスは戦闘に向いていないだろう。
戦えないことはないのだろうが、経験のない子供。
だが、
「私は助けられっぱなしだったから、私も助けられるようにならないと…!」
この思いを、僕は無下にできない。
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