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舞い散る花びらを眺めながら
その人は・・・・・
花びらが舞い散る桜の古木を見上げながら
僕のことなど気にとめることもなく
一人で話しをしていた・・・。
「何度目だろう・・・・・
君とこうしてこの桜を愛でるのは
そしてあと何度 あと何度自分は君とこうして
君とこうしてこの桜を愛でることができるのだろうか
もし叶うのならば 二人共に老いてもなお一緒に・・・。
そんなことを笑みを浮かべて言い残して
夫は戦場に赴きました
そして・・・。」
「時が移ろう中で・・・・・
様々なことが変わってゆくのに
でもこの桜の木だけは幾ら時が移ろうとも
毎年春になれば綺麗な花を咲かせます・・・。」
まるでうわ言のようにしてその人は
そんな話しを一人でしていた。