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やってらんねえよなぁ
「焼夷弾で・・・・・
江戸時代から続いてた店も
真っ黒い柱だけ残して焼けちまった・・・。」
「とはいってもよ・・・・・
戦時中は開店休業だったんだけどよ
でもよう それでもよう いつかいつかって
跡取り息子が戦争から帰ってくりゃよ
そしたらまた一緒に店を守り立てて
そう思って戦争が終わると直ぐに
廃材でバラックの店を建ててよ
踏ん張ってたのによう・・・。」
「戦死の知らせが・・・・・
戦争が終わってから二年も経ってだよ
届いたんだよ知らせだけがよ紙一枚
跡取り息子が戦場で死んだって・・・
やってらんねえよなぁマジで」
そう言ってその親父さんは
鼻を啜り上げた・・・。




