78/218
なにがバンザイなもんか
「ダメだって言ったのに・・・・・
絶対にダメだってそう何度も言ったのに
『御国のため』そんな生意気なことを口にして
いくらダメだって言っても言うことを聞かないで
わたしの猛反対を押し切って・・・。」
「一人息子は・・・・・
十四の歳に年少兵に志願して
そしてわたしの “落ちろ落ちろ„ という願いも虚しく
海軍特別年少兵に合格してしまって そしたらもう
あっという間に横須賀海兵団に入団が決まって
あれよあれよという間に直ぐに
出発の朝・・・。」
「あの朝わたしは・・・・・
親戚一同ご近所の人たちが
手にした日の丸の小旗を笑顔で振って
バンザイバンザイ・・・の声を上げている間中ずっと
なにが なにがバンザイなもんかって思ってた・・・。」
話し終えたその方の目は真っ赤だった。