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アジュンマの話し XVII
アタシの居た慰安所は・・・・・
前線からそれこそだいぶ離れた
治安のいい大隊本部の直ぐ近くに在ったから
時折り砲弾の音が聞こえることはあったけれど
それは雷よりも小さな音で怖くもなんともなくて
自分の命の心配なんかしたこともなかったよ・・・
むしろ内地が激しく空爆されていることを
兵隊さんからナイショで教えてもらって
家族は大丈夫なんだろうかって
心配していたくらいだよ・・・。
それに・・・・・
戦地に居るのが信じられないくらいに
内地にいた頃よりもよっぽど食べる物も着る物だって
それこそ物資が豊富にあったし・・・。
でもね・・・・・
アタシの居た所は最高だったんだけれど
聞く話しだと慰安所も千差万別だったらしいよと
暗い顔をしてアジュンマがそう言った・・・。