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バケツリレーなんかで
「所詮・・・・・
木と紙で出来てる日本の家なんてのは
焼夷弾が落っこちてきたらどうやったって
それこそパーっと一気に燃えて
燃え広がっちゃうんだよ
なのに・・・。」
「到底・・・・・
女たちだけでのバケツリレーなんかで
消し止められる筈なんかあるわけないのに
『わたしたちが一丸となって この町を守るのです』
そんな国防婦人会のお偉いさんの掛け声に
あの当時は誰も逆らえなくって
やってたんだよねぇ・・・。」
「ほんと・・・・・
戦争が終わってくれてよかったよ
じゃなきゃあたしはあんなバケツリレーを今でもまだ
きっとまだやらされているんだろうね・・・。」
そう言ってそのおばさんは笑った。