65/218
きっとアタシの子どももあそこで
すっかり陽が落ちて・・・・・
辺りが暗くなりはじめた頃に現れる
戦後様々な事情で産むことの叶わない子どもを
そんな子どもを身籠った女たちがあの川に浸かって流した
そんな そんな子たちのその霊だと言われている
護岸の上で遊ぶ黒い影の子どもたちのことを
一人で眺めていたら・・・。
「久しぶりね」ってそう言って・・・・・
僕も何度か先輩に連れて行ってもらったことのある
アメリカ軍の基地のある街でBARをやっているママさんが
僕の隣に笑顔で腰を下ろして
そして・・・。
「アタシの子どもも・・・・・
きっとあそこで遊んでいるんだろうから
本当はもっと近くに行って抱きしめてあげたいんだけれど
アタシが近くに行くとあの子たちの影は消えちゃうの・・・。」
遠くの護岸をじっと見つめながらママさんは
哀しげにポツリとそう言った・・・。