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神様って本当にいるんですかね
「前線で・・・・・
砲撃を逃れて飛び込んだ壕で
ありえない流れ弾にあたった仲間が
血だけじゃなくて腸も腹の外に飛びだして
もう息絶え絶えで苦しんで苦しんで苦しんで
苦しんでいたときのこと・・・。」
「握っていた手が・・・・・
どんどん冷たくなってゆく
仲間のその体温を感じながら自分には
神に縋り助けを乞うことぐらいしか出来なくて
『神様 どうか神様 どうか・・・』って祈り続けました・・・
でも それでも神様は藻掻き苦しむ仲間には
何もしてはくれませんでした・・・。」
「そんな・・・・・
まだ息があるときには
何もしてくれなかったそんな神様でもちゃんと
戦場で逝った仲間の魂を天国に導いてくれるんですかね・・・。」
皮肉交じりの笑みを浮かべてその方はそう言った。




