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今じゃもう誰も食べないけれど
庭先で・・・・・
草をむしっていた顔見知りのおばさんに
「こんにちは」って挨拶をしたら立ち話になった・・・。
「この草ね・・・・・
『カタバミ』っていうんだけどね
どこにでも生えてる厄介もんの雑草で
今じゃこんな草はそれこそ誰も食べないけれど
でもね 戦時中はこんな草でも食べたんだよ
生だと酸っぱくってあたしはダメだけど
茹でてアクを抜いて水にさらしてさ
おひたしやあえ物なんかにしてさ
当時は身近で簡単に手に入る
貴重な生野菜だったから
食べたんだよ・・・。」
「もっとも・・・・・
ぜんぜん美味しくなかったけどね・・・。」
どうやらカタバミのその味を思いだしたようで
おばさんは渋い顔をした。