41/218
アジュンマの話し X
「もったいねえ・・・・・
男を知らねえで慰安婦になるなんて・・・」
アタシのことを軍慰安所従業婦に紹介した
いつでも下卑た笑いを浮かべている同郷の男に
そんなことを耳打ちされて・・・。
べつに好いた男もいなかったし・・・・・
どうせ遅かれ早かれ知らない男とするんだから
だったらべつに誰でもいいやって
そう思って・・・。
アタシの初めての男は・・・・・
その同郷の男がいつにも増して
下卑た笑いを浮かべながら連れてきた
いかにも金持ちの中国人の爺さんだった・・・
正直 男に抱かれてもなんとも思わなかった
というかなんとも思わないようにしていたのに
なのに気がつくと手にした金を握り締めて
声を殺して泣いていたんだよと
アジュンマがそう言った・・・。