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シベリア帰りに対する差別があったんですよ
「私の父親は・・・・・
抑留されていたシベリアから
昭和23年に帰還したのですが・・・。」
「その2年後には・・・・・
仕事に就くことも出来ず
戦後変わってゆく社会にも馴染めずに
やがて酒浸りになって そして身体を壊して
『シベリアからなんの為に自分は戻って来たんだか
なにをしに日本に戻って来たんだか・・・』
そんなことを最期まで言いながら
失意の底で死にました・・・。」
「当時・・・・・
シベリア抑留から帰還した元捕虜は
『シベリア帰り』と周囲からそう呼ばれて
共産主義思想に染まっていると酷く警戒されて
周囲が受け入れず帰還してもまともな仕事にも就けない
そんなシベリア帰りに対する差別があったんですよ・・・。」
そう言いながらその方は涙を堪えていた。