37/218
アジュンマの話し IX
だけどね・・・・・
そうはいってもねえ
慰安婦になる決意はしたんだけど
だけどあの時アタシはまだ まだアタシはまだ
男を知らなかったんだよ・・・。
世の中には・・・・・
貧しさから親に身売りをされる
そういう可哀想な娘たちのそんな話しは
それこそ幾らでも耳にしたことはあったんだけれど
まさか自分が同じような目に遭うだなんてことは
それまで夢にも思ってもみなかったよ・・・。
いつか・・・・・
アタシもいつか好いた男と一緒になって
そして 女になるんだってそう思ってたんだよ
それがさあ まさか男を知らないままで
身体を売る仕事に就くだなんて・・・
そこまで話すとアジュンマは
紫煙を長く吐きだした・・・。