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お母さんは本当は
「私のお父さんは・・・・・
私がお母さんのお腹の中にいるあいだに
太平洋戦争の開戦時に南方で戦死してしまったのですが
お母さんはお父さんが亡くなった後も再婚せずに
一人で私を育ててくれました・・・。」
「そんなお母さんが亡くなって・・・・・
だいぶ経ってから遺品を整理していたら
大事な物がしまってあるお母さんの柳行李の中から
遺影でしか知らないお父さんとは明らかに違う男の人と
肩を寄り添うようにして並んだお母さんが
私には見せたことのない顔をして笑う
そんな写真がでてきたんです・・・。」
「たぶん・・・・・
お母さんはその人と再婚したかったんだと思います・・・
でも 当時は夫が英霊となったその妻が再婚することを
周囲がとやかく口煩く罵るようにして非難をする
戦時下の当時はそんな時代だったんです・・・。」
そう 哀しそうにその方はそう言った。