242/242
自宅の防空壕のその中で
「私の家には・・・・・
床下や庭に穴を掘った
そんな防空壕が無かったから
だから空襲警報のサイレンが鳴ると
家から少し離れたところに町内で造った
洞窟みたいな横穴式の防空壕に
急いで避難したの・・・。」
「だから・・・・・
空襲警報のサイレンが鳴るその度に
〝防空壕が床下にある家の子はいいなぁ〟って
いつも そういつも思いながら
避難をしていたの
でもね・・・。」
「皮肉なもんだよね・・・・・
自宅に掘った防空壕なんてもんは
一夜で街が灰燼と化す空襲のまえでは
それこそ全く防空壕本来の機能をしなくて・・・。」
そう言ってその人はなんともやり切れない顔をした。




