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アジュンマの話し V
日本での・・・・・
朝鮮にいたときよりも豊かな
そんな暮らしの中で弟が産まれた・・・
そして直ぐにまた母が子どもを授かった
そんな矢先に父がアタシたち家族を捨てて
日本人の未亡人と一緒に失踪した・・・。
到底・・・・・
幾ら朝鮮にいた頃よりも
収入は上がったとはいっても
女工のアタシ一人の稼ぎだけでは
身重で働けない母とまだ幼い弟たちを
養うことなど出来やしないのは目に見えていて
どうしたものかと途方に暮れていたら・・・。
同郷の・・・・・
いつも下卑た笑いを浮かべている男から
「今ならすごく割のいい仕事があるぜ」って
『軍慰安所従業婦』を紹介されたのだと
アジュンマは言った・・・。